長駄文館・・・無風の曇天、電線に並ぶ雀達為り。

　　　　　　　　　　　　　　　　無風の曇天、電線に並ぶ雀達為り。（10/18/19）
　　何時で在るか・・・。明かりを点ければ、５時を回って居る。悪くは無い、起きると致そうか。

　あれ、遺憾いかん、昨日はパスポートを取りに行って来たので、洗濯途中で在ったのを思い出して、洗濯機を回す。モツ煮鍋に一度火を入れて止める。上を一枚着る。梅干しを一つ口に入れて目覚ましとして、小部屋でお茶とする。

　パスポートのコピーを弟の会社に持って行く途中で、奈良井川の土手道を通って行くと、女鳥羽川と違って川が広いので、殆ど大増水の形跡は見られなかった。会社に行くと、会社に戻って来て居て、これから組合の会議に行くまでの間、休憩して居るとの事で在った。甘柿、梅干し、本瓜の醤油漬けを出すと、塩っぽいか、ああ、思い切り甘塩っぽいぞ。と応えれば、そうで無ければ漬け物じゃ無いと。大喜びで在る。

　横浜に船を置いて居るので、心配に為って台風の中を行ったそうで在る。高速が不通で下の道を通っての大回りで、道路の浸水、倒木騒ぎで大変な目に遭ったそうで在る。隣のヨットのマストが折れて、何ヵ所かの被害を受けて居たそうで在る。管理仲間に何回電話しても通じ無くて台風の中を強行したのだが、それなりに遣って呉れて居たので、被害は小さくて済んだとの由。

　泳ぎ続けなければ死んで仕舞う、『自称マグロ人間』とは云うが、いやはや、歳を取ったとは云え、化け物クラスの体力と行動力で在る。

　晩飯の炊飯器をＯＮとして、帳の下りた日課散歩に出向く。暗い時は暗い時で、人目を気にせずに『歩き体操』も出来るから、これも好しとする。

　この頃は、歳の所為で、意識して顎を引いて、胸を張り、歩幅、歩調に姿勢を正して歩いて居る次第で在る。家に居ると、知らず知らずに、背が丸く成って来るので、散歩時はその矯正時間として居る次第で在る。今までは、そんな事は一切気に上らなかったのだが、周囲の年配者を見るに付け、身体の縮み防止に励むしか無いと、意識歩きをして居る次第で在る。

　何時かは必然の老躯に捕まるのだろうが、ピンピンコロリを標榜する以上、丈夫で長持ちの『意識付け』が肝要と云う訳で在る。へへへ。

　来週金曜日は、年に一度の中学の同級会で在る。常連メンバーを見て、中学時代を語り合いながらの、其々の『安否確認の会』で在る。加えて自分の健康度の比較とも為って、若く健康的な『同級生見本』と接する事で、皆、其々に頑張ろうと思う『切っ掛け』にもして居る次第でも在る。７０代とも為れば、立ち振舞いは、ヨッコラショ、ドッコラショ、痛い痛いの身ながら、みな好々爺、好々婆の口で在る。

　思春期の中学を巣立って、四十幾星霜で男女の堺も完全に擦り減って、『中性域』の言いたい放題の一時が流れる次第で、和気あいあい、人生労わりの眼差しもまた愉しみでも在る。

　私なんぞは独居老人で在るから有難い事に、ご近所さんからは『憐憫の情』で、声を掛けられたり、頂戴物が在ったりする。『独り暮らしで、もう歳には勝てない』と、施設に入った西向かいの小母さんは、聞けば家を処分して終生の施設の住人に為られたとの由。

　別に気負う心算は無いが、人間、身体が動き元気で呆けずに、独り生活の気儘さを生きられる内が花で在る。

　明るく成って来て、廊下鳥も朝を始めた。雨の降った庭に、小菊が綻び始めて居る。空の様子は未だ振りそうなので、廊下鳥の外出し、洗濯物はお預けで在る。

　こんな日はお天気さんに迎合して仕舞えば、布団入りと為って仕舞う。鈍ら精神に鞭入れて、暫しのお勉強タイムで机に胡坐掻きして、万年筆の使い回しとする。その内、頭が酸欠状態に為って来たから、ちょいとスーパーまでモツの買い足しに行くが生憎無く、物は試しで鶏皮、大根を投入する事にする。

　モツ煮は別名・煮込みとは好く云った物で在る。煮込みの回数を増す毎に、柔らかくまろやかに為って、美味味を増す。飯のおかず、酒の友、小腹が空いた時のおやつ代わりとも為る重宝な物で在る。もう一度頁捲りを進めて、昼食は買って来たネギを刻んでたっぷり載せ、モツ煮で缶ビールを飲んで、本日布団上げをして居ない布団の中で、長々と昼寝をすれば好かろう。

　そうすれば、何か好夢との遭遇が在るかも知れぬでは無いか。外は無風曇天の電線に一列に並ぶ雀達である。へへへ。