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長駄文館・・・稀遇には、長生きが必要為り。

                    稀遇には、長生きが必要為り。(10/29/20)
 さぁ、起きるか。作業始めの前に、台所仕込みのサバの味噌に火入れをして置くと致そう。前回は甘辛煮、今回は味噌煮で在る。煮込めば煮込む程に、味が浸み込むのが男賄いと云う物で在る。弱火でコトコト。この間、小部屋で濃い粉末茶に鬼平カリントウを食べながらの一服付けとする。

 昨日は 下で、ラジオをBGMに柿の皮剥きをして居ると、弟が庭から遣って来た。町内のお得意さん宅に器具付けに来た処、留守だったので高所の柿採りをして遣るとの由。二人で煙草を吸いながら、Sさんも大量の柿を貰っての皮剥きなのだろうの笑いで在る。

 丁度、皮剥きをしながらの貝ヒモ&アサリの佃煮が完成して居たので、味見をさせて、美味いと云うから、小袋入れして、特辛味噌をリクエストされたから、タッパを持って来る。

「あれだろう。辛さを上げて在るだ う。兄弟だから、考える事は同じだ。」と云って、早速、指で味見をする。
「おっ、円やかで甘い・・・、おっ、来た来た。こりぁ辛いわ。」
「好いだろう。味噌って奴は、熟成ブレンドで寝かせると奥が深く成る。何か適当な容器を探して来るわ。」

 二連梯子を柿の大木に掛けて、弟が枝を切り落として、下で私がキャッチする。二人で遣ればすんなり行く。鳥のデザート数個を残して、全採りとする。二連梯子の上下作動が芳しくないので、原因を突き止めて直して呉れた。いやはや、プロは、素人とは次元の違いで在る。

 ノルマの柿吊るしをして、晩飯には早いから財布を持って散歩に向かう。切枝、落ち葉ゴミの袋が終わり掛けて居るので、散歩の帰りに買うべしで在る。個人スーパーでレジ打ちして貰って居ると、先客女性が帰りのドアで此方を振り返って居る。
「やっ、○子じゃ無いか?」
「やっぱり、Rちゃんじゃん。」
「やぁやぁ、何十年振りかじゃないか。あの世に行くまでに、一回は会って置きたかったんだ。これで、俺も死ねるわ。」

            そんな事で暫しの立ち話とする。
「昔はふっくらして好い女だったのに、如何した痩せちゃって。」
「そりぁ、しょうが無いわ。93の婆ぁと30年も働かない馬鹿弟の面倒見させられて居るから、私が一人で稼がないと行けないから、このザマよ。」
「そうか、『人生荒路』か。そりぁ大変だ。俺も皆に相想尽かれをされて、『天涯孤独の夜泣きの日々』だぜや。」
「何言ってるの、艶々して若々しいじゃないの。同情を買おうなんて、飛んでも無い話よ。」

             言葉を交わして居ると、口の滑りが好く為って来た。
「話をするのは、引き算すると50年振りだろうけど、目元の感じは若い時と同じで、やっぱり美人さんじゃ無いか。」
「そりぁ、そうさや。私の方が若いんだから。」
「はいはい、分かりやした。俺の方は、幽霊屋敷で男寡遣ってるから、『駄菓子付き』で爺、婆トークに来いや。極彩色戯け画のオンパレードで一杯吊る下がってるから、目の保養、気分の保養にも為るぜや。介護話は、経験者同士だから、息抜きにも為らぁね。」
「うん、分かった。」

 いやはや、『稀遇』とは、正にこう云った物なのだう。50年の年月は、お互い浦島太郎的再会なのだうが、お互い歳を取ったお陰で、男女の『境界線風化』の中性会話で、爺婆の言葉交換が出来て、面白かった次第で在る。

 人生何時、何処で、どんな出会いが待ち合せて居るかの一コマで在った。人間長生きをして見なければ、分らない物で在る。アハ、ハハ。

 明けて本日も、せっせと吊るし柿作りの段で在る。昨日のペースで行けば、本日、明日の片付きと云う塩梅だろうか。朝飯前に、ヘタ切りをして、日差しの暖まりで皮剥きをスタートさせて、息抜きに米屋さんに自転車で行って買って呉れば好い。柿剥きも本日が山場と為ろうから、頑張るべしで在る。

 廊下で柿剥きをして居ると、早くもメジロ夫婦が甘柿を突きに来て居た。おやおや、例年に無く、早い来庭では無いか。これも異変の一つかも知れない。さてさて、人間界にはどんな異変が、待ち構えて居るのやら。

 自転車を進めて居ると、川原にアオサギ、コサギの姿で在る。お天気が好いから、コサギ達の純白が眩しく映える。大欅の紅葉、イチョウの黄葉が大分進んで居る。

 柿の木に二連梯子が掛かって居たり、屋根に上っての柿採りの姿が在る。干し柿のシーズンで在る。米屋さんに寄る前に、コスコで活字読みの目のショボ付きに、目薬を買って行く。

 正午では在るが、遣らずば終わらない『一人作業』で在る。肉うどんに卵を落としての軽食で、30分程度の休憩をして、廊下場に胡坐作業の続行とする。明日で吊るし柿を終了としたいので、真面目にコツコツと進める。3時半の回りと成ったが、明日の終了の運びと成って、やれやれの感で在る。ヘヘヘ。


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コメント

No title

こんばんわ。

稀遇ですか、うーん。
Rさんは、地元長野で生活しておられるので、幼友達と逢われること、稀にあるのでしょうね。
自分は、この地に流れ着いてからまだ20余年ですから、幼馴染は周りにはいません。
逢うことは皆無と言って良いでしょう。

しかし、30年程前のこと、仕事で高校時代の同級生と、ばったり遭った事を思い出しました、高校卒業して20年位ぶりの出来事でした。

この歳になると、「アイツ今何してる」なんて思うことはあります。
若かった頃の友人に奇遇いや稀遇に逢うことなんて体験したいものです。
それには長生きしないとね、頑張りましょう。

No title

                 浮雲さんへ。

 こんばんわ。地元で暮らして居ると、こんな事も在りましてね。仰る通り、死ぬまでに一度会って見たいと思う人が居ましてね。これも、歳なんでしょうね。

 今年はコロナ禍の所為で、中学の同級会の連絡が来ません。人それぞれの事情が在るらしく、来る者、来ない者は略確定して居るとの事ですが、幹事さん達は大変でしょうが、同級会が在ると云う事は、貴重な事だと感謝して居ます。

 開店して居れば、何時かは懐かしい顔にも会う事が出来ますからね。へへへ。

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