長駄文館・・・梅雨寒に、人間証明為り。

　　　　　　　　　　　　　　　梅雨寒ながら、人間証明が出来た為り。（5/27/21）
　明るく成ったか、廊下の朝告げは無いのは、如何した事やら。5時前では在るが、トイレ序で起きると致そう。障子を開ければ、庭に僅かばかりの濡れで在る。降るか降らぬかは、難しい処と云う感じで在る。廊下でのモーニングコーヒーと煙草吸いとする。未だ動くには早朝過ぎる感では在るが、降らぬ前の苺採りをして置いた方が無難で在る。それをして居れば、体のエンジンも掛かる筈で、ジョロ散水にも向かうだろう。生り物は待っては呉れないから、『安全牌』でして置いた方が失敗は無い。それが、私の経験値で在る。

　苺採りを始めて居ると、霧雨の趣と成って来た。それ急げで2回採って、ジャム鍋に火を掛ける。弱火の鍋に２回目の苺が入る頃に成ると、雨が降って来た。いやはや、お天道さんの為さる事には間違いが無い。云って見れば早朝採りのお返しにジョロ散水の手を省いて下さったと云う物で在る。

　中瓶2、小瓶1の瓶詰をして、小部屋入りとする。空は典型的な梅雨空で在るからして、昨日のジャムとパンの物々交換、米買いをして来て『正解』と云う物で在る。本日はコンビニへの煙草買いをして呉ればオーライで在るし、場合に依っては農作業の出来ないYが顔を出すかも知れない。雨で悩み相談も無いで在ろう。へへへ。

　昨日は何ヵ所かのメモ部分を備忘録への打ち込みもして置いたから、雨の庭風情を眺めながらの、脳内世界史散策をすれば好かろう。

　梅雨寒でコタツの残った寝所で動画を聴きながら、脳内散策をして居る内にコタツの温もりに、ついつい寝て仕舞った。動画の煩い喋りに意識が覚めて外を見遣れば、本格的な雨と成って居る。

　台所の瓶詰も常温に冷えての冷蔵庫入れとし、昨日の物々交換の好物ブドウパンとコンソメスープで朝飯とする。市販品安物パンと手作りパンは雲泥のモチモチとした食感と小麦の風味で在る。

　さてさてと、本日は終日の雨と成りそうな雲行きで在る。植物達には地に沁み入る雨量と成ろうが、私の方はコタツ部屋とも為ろうか。これも梅雨の恒例の一つで在る。

　然しながら止みそうも無い雨で在るから、長靴、傘で必需品の煙草を買って来るしか在るまいか・・・。億劫に負けて車と云う訳には行かぬし。困った物では在るが、家の中のウロツキをして居ても仕方が在るまい。

　名前は思い出せないが、『雨雨降れ降れ、母さんがジャノメでお迎、嬉しいな。ピチピチ、ジャブジャブ、楽しいな』何て童謡も在った筈で在る。人間、老いれば童心に帰るとも云うらしいから、行って来るべしで在る。

　出掛けようとして居ると、ピンポンと鳴って、NHKの集金で在る。全額は払いたくないし、溜めて置けば額が嵩む。聞けば滞納額が大き過ぎるので、7割の支払いとする。集金屋さんは下請け業者さんで在るから、感情的文句も言えない。降り続く雨で在る。

「如何だい、気の滅入る雨だ。時間に余裕が在れば、少し上がって戯け画でも観て行くかいね。」
「好いですね。じぁ、少し。」

　玄関画廊から、6畳戯画廊の極彩色に面食らって居る中年男さんで在る。2、3絵の動機、説明をして遣ると、話に乗って来て、好い話相手をして下さった。私と7or11歳下との由。

　耳の痛い事をNHKに替わって引き受けて居る商売柄、応対力も鍛えられて居るし、話して居ても中々に味の濃い次第で話しが弾んだ。

「こんな近くに、こんな大物さんが潜んで居たとは、驚きです。もっと話して居たいんですけど、電話で催促ですから、今日の処はこれで失礼しますけど。家が近いんで遊びに来て好いですか。一回の鑑賞、一回の講義だけじぁ勿体無い過ぎますから。」

　頂戴した名刺の名前は、映画俳優さんの様な好い姓名で在るし、中々の中肉中背の整った顔立ちで在った。

　滞納分の大きな出費と相成った次第では在るが、好い話も交わせた次第で在るから、好しとすべしで在る。

　さてさて、長靴に傘で煙草買いと個人スーパーへ寄っての買い物をして行く。1級上の先輩レジさんも、雨の客足無しで暇そうにして居るから、レジ終了後は先輩殿と当世、世評話の口演をさせて頂いて来た次第で在る。

　人間の一番の特徴は、人との会話を楽しむ能力に在ると云われて居るそうな。その面で云えば、昨日、今日と私も『人間証明』が出来たと云う物で在ろうか。へへへ。