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長駄文館・・・歳を取る程に、為り。

                歳を取れば取る程に、兄弟為り。(12/31/22)
 弟の会社の向かいに鮮魚店が在る。昼には手頃価格で刺し身定食を出して居たので、昼には兄弟で食べに行って居た。一度、Tと3人で行くと、おうおうと言って、Tと鮮魚屋の主人とは、柔道部のライバル校の試合をした関係だったとの由で在る。先輩の友達は先輩と考えて仕舞うのが、男兄弟の気真面目さで在る。コロナ禍で昼の定食商売はして居ないとの由。正月の肴を社員、世話に為って居る方々に年の瀬に配ると云う善行を励行して居るのが、面倒蓑好さと義理堅さをモットーとして居る社長さんで在る。魚好きの私を知って居るので、付け届けをして呉れる弟で在る。私にはそう云ったマメさが無いから、如何しても鈍感域と為って仕舞う。

 ユーチューブで私の生まれる以前の映画で、マレーの虎と云うインパクトの強い物が在って、団塊世代のハリマオのモデルと云う事も在って、史実に近い映画と思って知識入れとして居ると、『暗いじゃん、具合悪いか』の声で、廊下から弟が入って来た。『大丈夫だ、映画観てるんだ。行くわ。』

 コタツから出て、妖怪様の仏間に行くと、電気カーペット、コタツの電源を入れて、仏壇に燈明・線香を灯してご挨拶として居る。早速ストーブを点火して部屋を暖める。豪勢な差知れ物を頂戴して、冷蔵庫に入るかなのニヤ付きで在る。『今年の正月は半分だから、持って来なくても好いのに。食べ切れんぞ。他に回せば好いのに。』

「正月の雑煮の仕込みをして置いたから、食べて見るか。」
「好いねぇ。実家の雑煮だ。餅は2個頼むよ。」
「おっ分かった。」

 早速、用意を始める。沢庵、茹で卵の殻を剥いて、熱々の雑煮に添えると。

「Rちゃ、ちょっと味が濃いぞ。」
「悪い悪い、仕込み汁だったから、濃いんだ。出す時は本汁を小鍋に移して水で割って出して居るんでさ。ちょっとお湯で割って見ろよ。」

「おっそうか。」自分で湯呑のお湯で調整する弟で在る。

「これだこれだ。相変わらず、好い味出してるわ。そうか二段階と来たか、流石に頭が好いわ。仕込みは濃くして、使う時は引き延ばすなんて『芸当』は大したもんだわ。うん、仕込みと使用の別は、理に適って居る。沢庵との取り合わせが、これまた好いわ。」

「美味いだろ。漬け物オケ買って来て在るから、たっぷり入れて持って行くか。」
「まだ回る所が在るから、好いよ。これ美味いから、飯のおかず、酒の摘みに持って行こうよ。」

「そうか、解った。じゃ4日に、そっちの分は糠ごと、ミヤシゲ、硬大根をタルにガッポリ入れて持っ行くわ。倉庫に置いておけば好いわ。旅用は洗って別タッパに入れて持って行くわ。」

「悪いねぇ~。手間暇掛けた逸品揃いで、金を出しても買えない美味さがジャム、梅干し、干し柿、沢庵漬けと一年を通じて在るからね。梅シロップと赤紫蘇ジュースの、夏バテ飲料は効いたよ。日干しワラビ、山蕗も、その発想たるや、常人の域じゃ無いからね。
 忘年会じゃ折角の快作の出題なのに、『付いて行けない凄い~』で終わっちゃって居るんで、嗚呼、兄貴の才能が『可哀想』と同情してるんだけどさ。アハハ。」

「まぁまぁ、それも好しでさ。常識の囚われ人遣ってると、人間、内に秘めた才能、個性に蓋が掛かっちゃう。ユーモアにはユーモアで応える、そんな余興の楽しさの提供をしたかったんだが、皆変に身構えちゃうから、自分で自分を面白く無くしちゃってる。勿体無い話って事だ。
 何でもかんでも、レシピが無いと発想も行動も出来ない、一人ひとりの個性の時代なんて誇大広告されて居るのに、実態は『没個性の時代』で困ったものさね。
 でもな。親が好い躾をして呉れたから、兄弟、普通にこんな会話が出来るんだから、俺達は恵まれて居る。親の好い遺伝子に感謝感謝さね。」

「同感同感。人間、真面目に生きて居れば、色んな人と出会って話す事で、色んな刺激を受けて、自分力が出て来るのだけど、大人になると努力が萎えて来るから、成長出来ないんだよな。
 Rちゃ、俺に言わせると、大体の人間は自分で自分を脳軟化症にして居るってもんさ。別に俺達が化け物でも無く、普通の真面目人間なのにさ。
 羨ましい程の、仲の好い兄弟って言うけどさ、仲の好い兄弟に為りたかったら、お互い一目、二目も置ける様に、生き様で努力しろって返して遣ってるんだけどさ。
 結局は金を出しての便利簡単の市販品で、行列の出来る店、ブランド品に有象無象するだけの、所詮はレシピ人間の実態だからね。世は旅、旅は道連れって云うんだから、旅の道連れを好く吟味しないと、『疲れ旅』に為っちゃうからね。」

「おいおい、旨い事を言うじゃ無いか。流石に現役社長さんだ。」
「そりぁ、そうさや。ワンツーマンの先生が好いから、この位当然だわ。さあ、未だ檀家が在るから行くわ。じぁ4日昼ね。頼むよ。」

 明けて本日、小部屋定位置で朝飯前の、この行を打って居ると、弟の姿で在る。好いお日和で在るから、会社に行って年末の片付けをして、息抜きにドライブで道の駅でミカン一箱と仏壇のお供え物に苺を買って来たとの由で、昼は何処かで飯を一緒に食べようで寄ったとの由。ミカンは食べ切れ無いから、半分置いて行くとの事。

 今日は軽トラで来たから、美味い沢庵漬けを貰って行くとの事。そんな次第で昨日仕込んで置いた、ナマスと酢漬け蓮根のタッパを出すと、ニコニコの弟顔で、美味い美味いのお茶飲み話のスタートと相成った。

 聞けば、小刀、錆びた日本刀が在ると、貰って来て独り黙々と刃研ぎをして、自分と向き合って居るとの由。先日も、それをして居る処を見られて、社員さんがゾッとしたそうな。

「おいおい、そんな処まで、ソックリか。好く似たもんだ。人間なんて代物は、土台、息勝って居ても、お釈迦さんの掌で転がされて居るキントン雲の孫悟空見たいな物で、先祖から受け継いだ遺伝子の中で生まれて死んで行って物でさ。自分もまたその遺伝子の端っこで支える一本の釘にも満たない構造に為ってるって事だ。
 言って見りぁ、人間、一代の産物に非ずって事だいな。それを知るのが真っ当な人間の一生なんだろうな。

 お蔭さんでさ、親父が確り押し込んで種付けをして、母親が真っ当に躾て呉れたって事だわな。それ理解するにぁ、還暦、古希を迎えて、健康・精神面での或る程度の長生きをして来ないと、観えて来ないのが『開きメクラ』の性ってもんで、困った世の中だいな。」

「そうそう、全く、その通りでさ。忘年会でも、何でこんなに仲が好いと聞かれるから。お互いに得手不得手は別にして、分野は違っても努力して居るから、3時間、4時間だって話が出来るんだ。兄弟、親子だって、中身が無けりぁ話が続く訳が無いだろ。
 例え、表現方が違っても、理解し合えるから仲が好く為る結果に為るだけの事だ。中身が薄けりぁ、話に弾みが出ないのは当然だろうが。俺は動のマグロ人間、兄貴は静のマグロ人間の共通項が在るから、お互い刺激し合ってるって関係が出来とるんじゃい。って、お説教喰らわせて遣ってるんだけど。学習能力の乏しいのが世の倣いで、怒る気も委えちゃう御時世でね。
 まぁ、それでも、俺達はツーと云うば、カーで響き合う理解の土壌が在るから、幸せってもんだわ。」


       昼は近くのテンホーでが、休みで遠出のイラッシャイマセの店での昼食と相成った。

        2022年の大晦日は、穏やかに暖かい申し分の無い良日と為った次第で在る。




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