長駄文館・・・宮古島三泊四日のショートバカンス。
- 2023/05/08
- 12:42
宮古・三泊四日の旅(4/29~5/2)
<初日>
会社出発時間が、2時から3時半に変更されては居るが、目覚ましが鳴っての『丑三つ時の熟睡起き』はキツい。時計の進みを待って居る内に12時を回る頃に成ると、流石に目覚ましをセットして横に為りたく為って来る。此処で寝たら最後の爆睡に陥る危険性が在るので、会社で寝て待つのが安全牌と考えてハンドルを握る。
1時も半ばを回った街には、酩酊帰りの男連が、駅前の通りを歩いて居る。4、5人のサラリーマンスーツのふらふら歩きで、コロナの収まりが見えて居る。会社手前のコンビニで、旅行中の煙草を5箱と、カツサンド、ミルクを買って、店頭のベンチで小腹空きを補充しての会社入りとする。
一階事務所の床暖フローリングには、MKちゃんが寝て居る。起こさない様に、差し足抜き足で、私も2時間ほどの仮眠を採る事にした。
旅行代理店の社長が、計算違いが在ったので、社長は居ますかねの入りだったが、会社泊まりか家で寝て居るかは不明で在るから、インスタントコーヒーを入れて、来るのを待つ事にする。
3時前後と成ると、MKちゃんが起き、社長が二階から下りて来た。Uちいが下りて来て、A君も登場で在る。
後は女性2人で全員集合で在る。会社の何時もの車は燃料を入れに行ったら、何か調子が悪いので修理に回し、高級車セルシオで行くとの由で、3人、4人の2台で出発との由。
未明の高速道路を乗り心地抜群の快走で、一路羽田空港を目指す。
空港で搭乗手続きを終了しての、搭乗時刻の待ちとする。空港内はちょっとしたファッションショーの様な物で在る。見事なヒップとボディラインを顕示して、歩く度にプリッ、プリッの切れの在る『モデルウオーク』が目前を闊歩して行く。
「あっ、失敗扱いた。話に夢中で、顔が見れなんだぞや。」
「Rちゃ、幾らでもチャンスが在る。相手は見せたくて見せたくで、ウオークショー遣って呉れるから、焦っちゃ駄目よ。アハハ。」
「了解、見せる女に、鼻の下伸ばして大袈裟に間抜け面で応えるのが、男の努めだぜな。」
日本人は古事記の時代から、男には女、女には男が最大の関心事で在る。それも国書からして、そうなので在るから一概に下品の範疇に入る訳では在るまい。へへへ為り。
一応、皆の手前社長の顔をし無ければ為らないのだが、我が家の序列だと番犬Sの下に置かれて居た4番目、5番目で在るから、二人だと直ぐ様、タイムスリップして女に目の無い『好色の親父譲りの血』なので在る。幸いに、弟、Tとは女の好みが違って居たから、好い様な物だが、『同嗜好』だと争いの種に発展して仕舞うのが落ちと為ろうか。アハハ。
男5人、女2人のこじんまりとした馴染み顔のショートバカンスで在るから、リラックス気分の非日常のスタートで在る。一卵性兄弟で在るから、弟も私も自然体で上々の気分で在る。
「処で、何持って来た?」
「古沢庵の丸干しを一本切って来て味の素振って、梅干し、特辛炒め味噌を持って来た。」
「俺は貰って使ってる梅干しと、山ゴボウの味噌漬け。」
ホテルは三連泊で、見所満載の宮古と橋連結のゆったり旅行を計画して居るとの事で在る。羽田から宮古へは、3時間のフライトで在る。同席で在るから、弟は旅行会社の宮古観行のパンフレットを何度も見て居て居るし、コロナで海外旅行が出来無かった分、社員旅行としては今回で3連チャン、その他でも行って居るので、大体の事が頭に入って居るらしい。
ロートル二人は、スマホは全然使いこなせないが、他の5人はスマホ世代で在る。スマホから情報を得たり、旅行案内パンフレットからの情報などをスマホに入れて、それを現地レンタカーのカーナビに入れて居る。
云う為らば『手創りプライベート旅行』の日程スケジュールにして居るのが、世代的特徴で在る。4人は色々とスマホ検索をして、飽き無い風で在る。
海外からの個人旅行でミラクル・ジャパン、クール・ジャパンが、スマホを羅針盤として日本を求めて殺到するのも、大いに納得出来る時代感覚で在る。
世界史記述では宋代の火薬、活版技術、羅針盤の発明が、測緯器、地球球体説に因って大航海時代を拓いて行ったそうな。拡大解釈をすれば、スマホは火薬機能が無いだけで『現代羅針盤』の最たる物で在る。個人が性能抜群の羅針盤を持って、大洋を航行する帆船から飛行機による『大旅行時代』と、考えるのが21Cと為ろうか。
旅行幹事がデザイナーの事務員・H子さんで在るから、男社員、旅行参加のお局様のスマホ参加が直ぐ様『参考映像の提供』と云う形で、ナビに連動してスムーズな形で進行する運びで在るから、日本人の沖縄レンタカー旅行が、国内海外旅行で人気な訳で在る。
空港横のレンタカーを借りて、先ずはホテルにチェックインして、部屋にバックを置いて、夏に着替えての昼飯食べに向かう。羽田では曇天の空では在ったが、宮古は『夏の空』で在る。
インプットした店は時間帯も在るらしく、開いて居ない。皆、空腹で店が開いて居たら、『即入ろう』の走らせで在る。おっ、3、4店目でオープンの兆しで在る。広い駐車場ながら車が2、3台の止まりで在る。コーヒー&洋食のハイカラ店で在る。
「Rちゃ、晩飯は美味かった去年の海鮮料理の店での宴会だから、洋風でも我慢って事だ。」
「おっ、分った。」
池風入り江の海に面した開放的な造りにして、明るく広いレストランで在る。私は持って来た物をテーブル2台に採って飯、ビールの摘みとする。テーブルには、島ライブのチラシが置いて在る。ギターとウクレレでの島唄ライブの紹介が為されて居る。
「おいおい、長野県出身のおネェちゃんだってよ。大学卒業してベトナムで活動して居たキャリアかいな。」
「ほう。どれどれ。」
弟にパンフを渡して、注文を取りに来た女性スタップに声を掛けると、後のカウンター席で髪を概ね白染めにした小柄で利発そうなクリクリした眼が特徴の若い美人さんが、挨拶に遣って来た。
「俺達も信州人だけど、出身は何処?」
「安曇野です。」
「近いな、俺達は松本。」
「えっ、地元じゃないですか。高校は○○高です。」
「何だ、○○生じゃ無いか。俺達兄弟も同じだぞ。」
「え~、先輩じゃ無いですか。奇遇ですね。」
「じぁ、大学は?」
「○○学院大学です。」
「惜しい、兄貴の大学と上は同じだったんだけどなぁ。兄貴は法学部だよ。」
「私はそこまで頭が良くなかったから。へぇ、奇遇の連発ですね。実は、昨日ベトナムから来たんですよ。此処で少しライブして、東京に行くんですけどね。奇遇に感謝して、先輩に歌います。聴いて下さい。」
気さくにテキパキと、ステージの準備をする後輩女性で在る。
いやはや、入った店で、こんなOB会が『アドリブの態』でトントン拍子に進んで仕舞うので在るから、奇跡の様な意気投合振りで在る。
私は自分の姿は見えないが、70の弟と28の二本線OBの雰囲気の共通性に『好い線を行って居る』と、母校の凄さを感じて、その有難さに感謝する心境で在った。
町内でも私好みの奥さんが居て、ひょんな事から言葉を交わす様に為った後輩女性が居る。その後輩さんに因ると、父親が男子番から高・二本線OBで、彼女も頑張って二本線高に入ったとの由で、「入って好かった」との由で在った。レベル、校風とは、『類は友を呼ぶ』の実態をマザマザと感じた次第で在る。
訛りの無い、透き通る明瞭な発音と音量の豊さ、整った目鼻立ちの貸し切りライブで在る。気に入ったら、以心伝心で通い合う開け広げの『二本線同心円の空気』で在る。
曲の合間に古沢庵の丸干しスライスを摘み、自家製梅干し、特辛炒め味噌を摘み、『故里の味』と懐かしむ後輩女性で在る。残りをプレゼントすると、ご飯が進むと大喜びで在る。
私は芸能界には一切疎い人間では在るが、意外と知る人は知るの『オーラの在る女性』で在る。積極的にロートル先輩の顔を立てて、二本線OBの『スマホの連撮』に誘って呉れた一時で在った。いやはや、ラッキーのバカンス初日で在る。
弟曰く。『どんな出会いが待ち受けて居るか。これが旅の面白さなんだ。最年長・俺の兄貴が興味が在れば、形振り構わず積極的に出て行く。その『敢闘精神』を見倣って呉れよ。』
左様で御座るか・・・敢闘精神と『スケベ精神』は紙一重の差為れど、人間、当たりぁ見っ付け物で、下手な鉄砲も数撃てば当たる事も在るって事らしい。
「そうそう、『旅の恥は掻き捨て』って云うから、スケベ男には負けちゃうけどさ。何しろ、この兄弟は一線を超えてるからね。火傷しない程度にアタックして見てよね。」
「おいおい、俺達は化け物兄弟に加えて、『変態兄弟』か。エレェ事言って呉れるじゃ無ぇか。」
「社長、昔から『鬼に金棒』って云うじゃ無いですか。バリアが強過ぎて高過ぎて、そんな度胸は、俺達には無いですよ。」
「Uちぃ、そりぁ違うぞ。Rちゃの場合は『鬼にチン棒』でさ、無尽旅行のロシアは一回で多数割れだったんだけど、リクエストが掛かって来て、一人で2回も行って来たんだぜ。」
「社長聞きました聞きました、無尽旅行の語り草に為ってるんだって。社長の話が上手くて、目に浮かぶ名シーン、珍シーンの数々ですよ。」
「なんだい、それは『個人的な誹謗中傷の流言卑語』じゃ無ぇか。火傷にはメンソレータム、日焼けには日焼け止めクリームで、男の心のスパイシーは、女スパイスって、物の本には書いて在った筈だぞ。俺ぁ素直だから、勇気を振り絞って『人間修業』してるだけだ。邪(よこし)な妄想は、自らの人格を貶(おとし)める愚行ってもんだぜや。俺の日本語解るずら。『潜りの日本人』じゃ無ぇだろうな。あい~。」
「またまた、Rちゃ、私は社長との付き合いが長いから、そんな屁理屈は『即、却下』だからね。そんな『変態人間』に付ける薬なんか、昔から無いのに、白々しい事を云うから、ビール吹き出しちゃうわよ。ねぇ、H子ちゃん。お兄ちゃんは、『要注意人物』だよねぇ。アハハ。」
「はいはい、女の口に戸は立てられぬ。お局様に逆らう程、身分が近く無いから、我慢するわ。人間って下衆は、如何しても誹謗中傷・流言卑語に惑わされちゃう。それが世の倣(なら)いだからな。そんな人間娑場の実態を映して、刑訴訟法では、伝聞には証拠能力は認められて無ぇんだわさ。
人間、客観力を培って置かないと、名誉棄損の罪を重ねちゃうんね。でも、此処の洋食は美味かった。」
ライブを聴きながらのゆったりした昼食食べ終わる頃に為ると、客入りが多く成って来た。好い貸し切りライブと記念撮影の連撮の後、ホテルに帰り、夕食宴会に集合して向かう。
体を運ぶだけの気楽さに気付かないだけで、段取り、会計を一手に引き受ける幹事役のH子さん、車を運転する社員さん達は大変で在る。
旅ガイドによると、安全牌を採って『予約』がうたわれて居る。予約で一杯の筈だった処が行けば、空いて居るとか、何かとガイドブックに『不信感』が生まれて仕舞うのが現実と云う物で在る。去年の昼食で美味過ぎるの料理で在ったが、同様の人気の料理を頼んだのだが、今一の食感想で在った。伊勢海老と是非とも食べて見たかったと云う『ヤシガニ』にトライした幹事さんで在ったが、・・・。
本場フィリピンのボラカイの自由行動の4人でのロブスターの値段の比較歩きをして、ロブスターと安値のヤシガニを、『試し食い』をした事が在った。その結果が、全員『異口同言』で、ロブスターの高さに大納得した経緯が在った。
まぁ、それでも人間で在るから、実際に食べて見ないと、解らない次第で在る。然しながら、何事も経験学習と云う物で在る。
『所変われば、価値変わる』の態で、ウナギとドジョウの喩えも出て来ようと云う物で在る。アハハ。
女性二人は、逆立ちをしても追い付けない『酒豪さん達』で在る。きっと常人には無い、『アルコール分解酵素』に恵まれて居るらしい。ジャキー・チェーンの酔拳の様な乱れは一切無い処が、妖怪の『ウワバミ体質』なのだろう。それで居て、アルコール依存症タイプで無いから、真に羨ましい体質で在る。
因みに、メインに出されたヤシガニのお値段は、一万数千円の高級料理だったとの由。
流石に旅行初日で在るから、同室の兄弟コンビは、早々にベットインしての豪眠の態で在った。
<2日目>
朝飯の宛てに、弟が梅干しと山ゴボウの味噌漬けを出して呉れた。
「おっ、色と云い、膨らみと云い、こりぁ、上品で高級品じゃ無いか。負けた。」
「言われた通りに、梅干しをさっと洗って、戻す時に使えと云われた梅汁に漬け込んでるだけだよ。何時も言ってるじゃん。兄貴の梅干しは最高だって。」
「でもさ、保存が利く様にコチンコチンの梅干しにして、それを使う分だけ戻して、自分為りの梅干しに還すなんて芸当は、感性の問題だぞ。お前さん、相当に育ちが好いんだな。上品な出来だ。手が変わると、外形も味も、こんな『逸品』に為るんだ。驚いた、脱帽だ。」
「梅干しをパッと見て、食べて、こんな話が交わせるんだから、俺達は好い遺伝子を親から貰って居るから、感謝感謝だよ。『えっ、社長が作ったの。凄い』で終わちゃったら、下の下で、張り合いが無いからさ。
梅の色付き・熟し具合の採り頃を見て、塩漬けして、庭の赤紫蘇の葉を捥ぎ取って、色付けさせて、三日三晩の土用干して、梅汁を保存出来る様に煮沸・濾してペットボトルで冷蔵庫保存。オール自家製だ。
美味い物には、その前提の手間暇掛けが在る。馬鹿のお座なりじぁ、名品は生まれて来ない。そんな手作りの価値が解らない世相は、困ったもんだわ。アハハ。」
兄弟のテーブルに、女性二人のお越しで在る。梅干し、山ゴボウの味噌付けを食べて、その感想に、弟が私の顔を見てニヤリと笑ったのは言うまでも無い事で在る。
海に当てて居たスケージュールで在ったが、生憎のお天気さんで在る。土産物を買ったり、海中博物館、海ブドウ、クルマエビの養殖場などの見学をしながらの天気の回復を待つ。
宮古では到る所、テッポーユリが自生して居る。今年は我が家でも、初めてのテッポーユリが咲く。そんな次第で、テッポーユリについつい目線が向かって仕舞う。。
海ブドウの直売所での発送をして居る間に、私は開いて居るビニールハウスの養殖槽の『勝手見学』をして居ると、ゴツイ感じの親父がヌーと入って来て、怒られるかと思ったが、顔・体格に似合わず、説明をして呉れた。
説明によると、今が旬の海ブドウとの由で、春に仕込んだ物が40数日を掛けての一番美味い『旬の時』との由。これからの仕込みでは、20日強の出荷と成るから、成長が早い分、大味に為るとの説明で在った。
実物の養殖槽を見てのマンツーマン説明を聞くと、生産者の現場説明は、水中博物館の学芸員的スマートな説明よりも、グッと解り易く多方面への参考と為る。
クルマエビ養殖の現場を見たいと言うと、2年前に病気の発生で全滅して、水産試験場の原因追求分析が出て、今年から再養殖が出来る運びに為ったとの事。養殖担当は親父が、販売担当は女房がの『零細商売』との事で在った。
A君が大体終わったと言って、呼びに来て呉れた。
旅はスケージュールで、お天気は人間スケジュールには合わせて呉れないのが現実で在る。限られた日程で在るから、シュノーケルに向かう。海に入って仕舞えば、愚図愚図お天気も、人間の勝ちで在る。然りながら、色彩は総べからず太陽からの賜り物で在る。
「Rちゃ、今日は寒いから、ウェットスーツ着た方が好いぞ。何しろ俺達は70代の爺だからさ。」
そんな次第で弟に手伝って貰っての着込みで、私は先頭を切ってのシュノーケルタイムにスタートとする。幼稚園以来の弟の面倒見の好さで、私には過ぎたる弟の存在で在る。
お天気の具合で客入りは少ないが、白砂ビーチと遠浅の海にはテーブル状のサンゴの凹凸が展開する海で在る。そんな環境の好さに、水中水族館以上の魚の多さで在る。私の横をライフジャケット、フィンを付けたA君が、通り越して行く。
年齢を考えると充分のシュノーケリングを愉しんだから、体力を考えて上がる事にした。現役で体力の在る弟の姿が、彼方に見える。
浜に上がると、思いの外、遠くに流されて居た次第で、借りたパラソルまでの歩きで在った。煙草を吸って帰って来ると、弟も歳だと言って、帰って来た。缶ビールと鶏のから揚げで一服を付けて居ると、徐々に帰って来た。
海カメが2匹居たとか、海蛇が泳いで居てゾッとしたとか、色んな発見が在ったそうで在る。皆が集まった処で、軽くビールに摘みの軽いランチタイムとする。
腹に収めて一休みした処で、再びのシュノーケルに向かうのを尻目に、最年長の私は奥の方の岩礁の海に興味が湧いて、ビーチ散策に赴く。客の来ない一帯なので、打ち寄せられたプラスティックのゴミ、流木、ヤシの実などが散在して居て、『海は広大に繋がって居る』の眺めで在る。暫し、漂流者ロビンソン・クルーソーの『擬似連想』を働かせて観る。
比重・浮力の関係で、サンゴ片は寄せる波、退く波の波幅を丁度時計の振り幅に応じる様に、端と端に堆積させて居る。砂とサンゴの比重の違いを、こんな風に目視出来るのも、体力の衰えに伴う発見でも在る。
そんな事に興味を持って戻って来ると、灰色の層が在る。ナンジャラホイと手に取って見ると、『軽石の粒層』で在った。
何年か前に、軽石が大挙押し寄せて『大ニュース』に成って居た事を思い出した。そう思って見て見ると、灰色の軽石を集めて部分が幾つも在る。
左様で在ったか。去年の沖縄の海の綺麗さは世界一と感嘆しての眺望の数々で在ったが、集客力の在るホワイトビーチの維持を苦心して居る人達の努力を見れば、利用料金の高さに文句は言えない次第で在った。
弟は白浜の穴を、棒切れで穿(ほじく)って居る。私の遺伝子は妖怪様に依拠して、弟の遺伝子は親父に依拠して居るの構図で在る。そんな光景を見ると、就学前の私と3歳の幼児期に父親を亡くした環境下に育った者でも、その遺伝子と云う『体内の地下水脈』を通して、時々地表に湧出する水の存在に、代々受け継がれて来た『血筋と云う物は争えない』の納得が得られる物で在る。
『人間は一代にしては、生まれて来ない』の証左で在る。砂地深く身を潜(ひそ)めるカニに、目下、『傾注の弟』で在るから、邪魔をせずに『灰色の帯は軽石だよ』と云って、パラソルに戻る。
弟の日頃のきつい肉体労働に対する『慰労の社員旅行』で在る。心行くまで、楽しむのが旅行の主旨で在る。一度海から上がって仕舞うと、流石に古希坂兄弟で在るから、再び愚図ついた海に入る勇気が無い次第で在る。
それでも、こうしてゆったりと非日常の人生のリラックスタイムを持つ事が出来る年齢域に達して来ると、これもまた『善き人生サイクルの進み』と云った具合で在る。
夜はステーキとハンバークの店で、夕食を済ませる。肉派の弟には肉の味が解るが、魚派の私には魚は解るが、肉音痴で余り解らない次第で在る。因みに、弟の顔は合格点の出無い顔付で在った。
スナックで夜宴会と云う事に為った。此処でもスマホナビが活躍した。その界隈から一軒チョイスして、幹事さんが予約を入れる。狭い一方通行の道をタクシイ2台で到着とする。その界隈に明かりが付いて居るのは、その店だけで在った。???。
貸し切り状態で在る。ママさんによると予約7名にはトラウマが在って、予約に気を好くして居たら、『予約詐欺』に在ったとの由で、気乗りし無かったそうで在る。
チャカチャカ、見知らぬ所でもスマホ一つで、事が足りて仕舞う『簡単便利な御時世』で在る。音声伝播は瞬時にして世界を駆け巡るが、顔の見えない世界は、その分、個人が試される信頼を『絶対基盤』として居る。
従って、自分だけ、その時だけの『御都合主義者』の手に掛かると、真に受けた者だけが損を見る社会と為って仕舞う。そんな簡単便利な点と点を結ぶだけの弊害は、怖い社会の深層なのでも在ろうか。光と影は、世に付き物で在る。
観光地とは余所者が一時、遊ばせて貰う、利用させて貰うの謙譲心が無いと、地元生活者の反発心を産む結果と為る。今流行りの自分だけ、今だけ、金だけの『不遜的一過性の行動パターン』は愚の骨頂で在る。
「あっそう、ママさん好いから好いから、歳増だけど内の2人使ってよ。」
「押し掛けちゃって、御免なさいね。ママさんはカウンターで指示して、出前ホステスするから。大丈夫よ。」
「飲んでばかりだと、太るだけだから、確り働け。」
「あら、宮古には一見(いちげん)さんなのに、元気じゃ無~い。私、出張ホステスの花子で~す。何欲しいの、ドンドンオーダーして。宮古を潤して~。夜は長いんだから。」
ビールで乾杯して、その後は角瓶、焼酎各種のボトル入れで、怒濤の会社宴会への突入で在る。
一見客の予約反故(ほご)に現れる沖縄民と本土民の気持ちの擦れ違いに、ママさんの本土民の潜在感情を拝聴する。物をハッキリ言うのが、如何やら沖縄の県民性らしい。本土に対する辛み恨みが充満して居るらしい。
明代の琉球王国の栄華が、島津侵攻、清・日への朝貢、明治政府による沖縄版廃藩置県の『琉球処分』の言葉尻が大東亜戦争時での『ひめ百合の塔』に代表される唯一の上陸戦争、その後の米軍占領と地政学的軍事拠点としての軍施設・・・etcで、平和に関しては、特大の被害者感情を持って居る土地柄らしい。
一般感情論としては、大いに頷ける物の、事、具体論と為って仕舞うと、『一書悉(ことごと)く信ずるは、書無きが如し』の法学部脳味噌にスイッチが入って仕舞う。沖縄がひめ百合の塔なら、本土は学徒出陣、神風特攻隊、原爆、東京焼夷弾、シベリア抑留・・・etcも在る。
沖縄ではどんな歴史教育が為されて居るのか、ついつい意地悪な質問をして仕舞うのが私の『悪い癖』で在る。一般的には学校でそう教わったの感情的反発を受けて仕舞うのだが、日本史と世界史の比較検討をしながら、自分軸の日本史、世界史の通史を見比べながらの、総合歴史観も在れば、沖縄観も在る次第で在る。
へへ、島々を縦横に繋ぐ巨大橋は本土だったら、当然に有料橋で在る。
それが本土国民と沖縄県民の言わずもがなの根底に在るのだろうし、本島での三山時代を象徴する城壁(グスク)の戦国統一戦争。明代・鄭和の南海大朝貢も永楽態一代で再び中国伝統の海禁策に戻り、南海貿易の旨味を放棄する訳には行かなかったので、福建・広州の中国人が、大量に移民して明の南海貿易の『ダミー』として中継貿易の利を手に入れた琉球王国の栄華を如何解釈して居るのか。琉球処分で解放されるまでの島民の税負担は、土地税と人頭税で在る。
土地は農民にとっては収穫の根源で在るからして、所得税の様な物で在る。赤ん坊から年寄りまで『一律に頭数』で税を徴収されて仕舞っては、日本の『五公五民』の比では無かろうに。中国同様に、そんな税体系は支配する者と支配される者の独裁王朝と奴婢の国柄と断じるしか在るまい。
朝鮮半島、琉球も地政学的環境の為せる処で、多分に『事大主義的思考』が作用して居る。私には、韓国の『恨の精神』に共通する処が垣間見られる。禊(よそぎ)をして、水に流すとか、人智としての『時効』を適応させると云った好い意味での割り切り方が出来ない部分で、『感情論的処置』をして仕舞う外への閉鎖傾向が、私としては身内文化の島唄ライブに結び付いて居る様に感じられる次第でも在る。
許す事は、拘(こだわ)り続ける自分の心を許す事なのだが、許す対象を他にだけ向け続けるのは、千年経っても、決して日本を許さずの『懲りないコリアン思考法』と思うのだが。
○×マークシートの試験じゃ在るまいし、大人に為っておかしいと思えば調べるのが、大人の道で在ろう。そうすれば、それなりに『思考の軌道修正』も出来る次第で在る。
私は頭が悪いから、私の中に流れて居る日本人としての血がおかしいと思えば、『鎮静剤』としての知識量を増やして納得して行く事しか出来ない性分で在る。
遅く成って常連客の訪れで在る。島で在るから、『仲間内文化』が根付いて居るのだろう。良心的な店で、明日も来るからとお開きとする。女性群二人は、ホテルが近いからと云って徒歩帰りとするそうな。
<3日目>
ホテルの朝飯バイキングが、美味い次第で在る。朝飯は7時からで在る。ホテル前には立派な対のシーサーが立って居る。作るから、好く見て置く様に云われるが、私には理解出来ない次第で在った。歳の所為で、明るく成ると自然と目が覚める。
スモーキングタイムで、オープンするまでの間を玄関横の喫煙場所で過ごして居るのだが、不思議な事に初めて気付いた。
沖縄の空には、『燕』が居ないので在る。成る程信州と違って、沖縄ではツバメは冬鳥と云う事なのだろう。呑ん平ウーマンコンビは、ホテルには直行せずに飲んで来たとの由。ご立派!!
今朝のお天気は最悪の雲行きで在る。宮古沖では自衛隊ヘリコプター墜落事故で、サルベージ船が2隻、そして小型自衛艦が引き揚げ作業をして居るし、島内では何度か自衛隊の車と遭遇する事が在る。
雨で海は駄目で在るから、植物館を見学する。観光スポットで在るから、普段お目に掛かれないバナナ、マンゴ、パパイヤ、パッションフルーツ、名前の思い出せない物、南洋花の数々を見て、私の様な者からすると、蝶、小鳥、孔雀などが放し飼いにされて居たら、様に為るだろうなの素晴らしさで在った。
お薦めのバナナジュースを飲んだ。土産物の東京バナナより、美味かった。ハウス栽培のマンゴの樹相が、横に伸ばす為に樹高下げで『蛸足仕立て』に為って居るのには、脱帽の『人間知恵』で在った。これを見て、島のハウス栽培の中身が、マンゴで在る事に合点した次第で在る。
次は大橋が出来るまでは『宮古随一観光地』の灯台を、眺める大小様々な岩礁の海で在った。武蔵坊弁慶では無いが、『絶景かな、絶景かな』の壮大な景色と、整備された後継地で在った。鳥の鳴き声を追っての遊歩道を行く。小さな小鳥と首から下に色を持ったカラスバト?らしき物を見た。
お次は本日のメインとの事で、植物庭園風の敷地の中にガラス、貝、粘土で作るシーサー棟が並んで居る。
あっ、そうか。それで、ホテルのシーサーを好く見て置けとの事だった訳で在る。
兄弟並んでの粘土教室で在る。
「ねぇ社長、誰が一番で作るかしら。」
「そりぁ、Rちゃだろう。」
私は不器用で在るから、参孝のシーザーなど在っても、模造出来る器用さは皆無で在る。
隣の弟からは、集中力の手運びが伝わって来る。完成は殆ど一緒で在る。
デザイナーのH子さん曰く。
「やっぱりこの兄弟は、他の人とは全然違う。二人とも好い出来だわ。Rちゃ、社長の作品は如何?」
「うーん、一言で云えば、頭が好いな。要素分析をして、不要な物は削(そ)ぎ取ってる。迷い無く、肝を決めてる。相当な直感力と仕上げの速さは、優等生だわな。躊躇(ためら)いの無いストレートさが、『切れ』を産んでる。作品は、性格を現わすって事なんだろうな。」
「じぁ、社長はRちゃの作品は、如何見るの?」
「絵と同じで、縛られない感性でササッと仕上げちゃう。普通じゃ逆立ちしても、こんな発想は出て来ないわ。俺は『ワンユーモア』でベロに玉乗せしたら、重みで舌が落ちちゃって、失敗扱いたって訳さ。」
「もう出来たんですか。わっ、二作とも主張してますよ。個性的ですよ。」
物作りは、人を真剣にさせる物らしい。そして性格を映し出して仕舞う物らしい。皆さん、几帳面な摸作に励んで居られる。お局様が、手を加えれば加える程に軟体動物に為り下がるシーサーに、ヒィーヒィーと笑い転げて居る。
さて、次為るコースは、大型バスを改造したエビを添えたニンニクバターライスで在る。いやはやワンメニューながら、満車状態の殺到振りで在る。風の強さに空物がすっ飛んで行く。海の眺望を見に散歩道を進むと、奥でNHKの取材班が沖の自衛隊機の引き揚げ映像を撮る為に焦点を当てて居る。流石に、『世界に誇る撮影機材』で在る。手元の画面には、確り鮮明画像が見えて居る。
お次は青の洞窟の道すがらに、ハートの洞穴を見に行く。パンフレットでは大きな洞穴と映って居たのだが、最初はその小ささに???で在ったが、首を30度くらい傾けて接見して見ると、成程、パンフレットの写りと相成った。
さて、『青の洞窟』は如何に?で在る。島の原生植物の生い茂る小道を抜けると、思わず感嘆符の出る『神秘さ』で在る。青い水を満々と溜めた大きな池が二つ並んで居る。これで太陽に恵まれて居たら、神秘度は数倍に増す事だろう。池の満中に反対に抜ける橋が掛かって居る。
「池は繋がって居るか」の社長質問に、橋の下は見えないから、皆、真顔の見比べで在る。
水面の位置が同じなら、繋がって居る。別水位なら別池と相成る。岩石帯を両池とも垂直に落下した感の在る並びで在る。池の側面、底部が割れて居れば、理屈としては通じた池で在る。自然石の滑落様相で在るから、人工的コンクリート池では無いから、繋がって居ると推理するのが『妥当の線』で在る。
社長の提言で在る。「目の錯覚か、理屈で考えるか。それが問題だ。」
皆で思案した結果は、水面同一説に落ち着いた次第で在った。男女7人旅は、人数的に適当人員らしく、こんな遣り取りが出来るから、アットホーム的な面白味が在る。
海に繰り出す事は出来無かったが、こんな陸地観光が出来たので在るから、宮古は見所満載の沖縄旅行のベース島と云った趣で在る。
晩飯は土地野菜、海藻天ぷらを売り物にする島唄ライブ酒屋で在る。
アットホーム酒屋と云えば、聞こえは好いが、揚げ物ばかりだと、味も素っ気も無い次第で在る。宮古最後の夜で在るから、昨日のリーズナブルスナックで大いに歌おうと云う事に決定した。
「Rちゃ、トマトジュース用意して在るかな。如何見る?」
「俺は、無いと思うよ。」
「そうかな、俺は有ると思うよ。」
店に入ったら、遺憾いかん。店のサンダルを入って来て仕舞った。飛んだ粗相をして仕舞った。帰りに『靴を取りに行かねば』で在る。次のタクシイが来て、A君が私の靴を持って来て呉れた。
「サンダルは返さなくても好いと、言ってましたよ。」
「いやいや、申し訳ない。アリガトウ。」
全員揃った処で、宮古旅行最後の夜で在る。トマトジュースは無いと云うので、ビールの後はウィスキーの水割りとする。のっけから、ハイテンションのカラオケモードで在る。
社長を先頭に、出るは出るは、続くは続くのハイテンション・オンパレードで在る。皆さん、お上手で在る。私も歌、雰囲気は大好きなのだが、音痴で一切歌えないのが羨ましい限りで在る。とほほの極みで在る。工作のシーザー教室では無いが、歌にも選曲、歌いの個性が在って、見て聴いてー居るだけでも、私のテンションも高揚して来る。
飲んで歌っての宮古の夜は、大音量に更けて行く。
其処へ4人客が入って来た。ママさんの同級生達との由。大柄な体格の頑丈な客が一人、カウンター席からこちらを見て居る。
仲間に為ったら、島唄の県民性で在る。
カラオケに合わせて踊り始める。その内に、Uちぃと意気投合した様で、お互いのTシャツを脱ぎ合ってのTシャツ交換と為り、其の儘、同席と相為った。船を持って宮古の海を案内して居るとの由で、今度来る時は、宮古一の海を案内するとの由で、名刺交換をする。長野県を気に入っていて、長野は何回も行って居ると云う。明日はモズク漁が在るから、最高のモズクを格安値段で発送するとの由で在る。
12時まで、ハイテンションで歌い、飲んでのお開きとする。歩いた方が早いと云う帰りで在った。明日は移動日で在るから、酒豪連はホテルに帰っても飲み続けるとの由。Uちぃは、沖縄の友達の居酒屋に寄るとの由。
<4日目>
午後のフライトで在るから、ゆっくりの朝飯で在る。女酒豪連は2時過ぎまで飲んで居たそうな。空港までの時間を土産物の追加などをしての時間潰しとする。搭乗手続きをして、昼は待合ロビーで宮古そばを食する。帰りの便は行きの便とほぼ同様の顔で在った。
三泊四日の宮古の旅は、初日と最終日が晴れただけの天候には恵まれなかった分、ショート、ショートの島内巡りが出来て、天候に恵まれた去年と足して2で割れば、海に陸にとバランスが好かった沖縄行で在る。来年はコロナ騒ぎも収まって、通常と為ろうから、フィリピン行でゲストハウス泊まりと為りそうとの事で在る。
無事羽田に戻って来た物の、帰路は渋滞渋滞の続きで、帰社は2時間遅れの11時着で在った。
2023/5/5・・・風吹き抜ける二畳小部屋にて、by アガタ・リョウ。
<初日>
会社出発時間が、2時から3時半に変更されては居るが、目覚ましが鳴っての『丑三つ時の熟睡起き』はキツい。時計の進みを待って居る内に12時を回る頃に成ると、流石に目覚ましをセットして横に為りたく為って来る。此処で寝たら最後の爆睡に陥る危険性が在るので、会社で寝て待つのが安全牌と考えてハンドルを握る。
1時も半ばを回った街には、酩酊帰りの男連が、駅前の通りを歩いて居る。4、5人のサラリーマンスーツのふらふら歩きで、コロナの収まりが見えて居る。会社手前のコンビニで、旅行中の煙草を5箱と、カツサンド、ミルクを買って、店頭のベンチで小腹空きを補充しての会社入りとする。
一階事務所の床暖フローリングには、MKちゃんが寝て居る。起こさない様に、差し足抜き足で、私も2時間ほどの仮眠を採る事にした。
旅行代理店の社長が、計算違いが在ったので、社長は居ますかねの入りだったが、会社泊まりか家で寝て居るかは不明で在るから、インスタントコーヒーを入れて、来るのを待つ事にする。
3時前後と成ると、MKちゃんが起き、社長が二階から下りて来た。Uちいが下りて来て、A君も登場で在る。
後は女性2人で全員集合で在る。会社の何時もの車は燃料を入れに行ったら、何か調子が悪いので修理に回し、高級車セルシオで行くとの由で、3人、4人の2台で出発との由。
未明の高速道路を乗り心地抜群の快走で、一路羽田空港を目指す。
空港で搭乗手続きを終了しての、搭乗時刻の待ちとする。空港内はちょっとしたファッションショーの様な物で在る。見事なヒップとボディラインを顕示して、歩く度にプリッ、プリッの切れの在る『モデルウオーク』が目前を闊歩して行く。
「あっ、失敗扱いた。話に夢中で、顔が見れなんだぞや。」
「Rちゃ、幾らでもチャンスが在る。相手は見せたくて見せたくで、ウオークショー遣って呉れるから、焦っちゃ駄目よ。アハハ。」
「了解、見せる女に、鼻の下伸ばして大袈裟に間抜け面で応えるのが、男の努めだぜな。」
日本人は古事記の時代から、男には女、女には男が最大の関心事で在る。それも国書からして、そうなので在るから一概に下品の範疇に入る訳では在るまい。へへへ為り。
一応、皆の手前社長の顔をし無ければ為らないのだが、我が家の序列だと番犬Sの下に置かれて居た4番目、5番目で在るから、二人だと直ぐ様、タイムスリップして女に目の無い『好色の親父譲りの血』なので在る。幸いに、弟、Tとは女の好みが違って居たから、好い様な物だが、『同嗜好』だと争いの種に発展して仕舞うのが落ちと為ろうか。アハハ。
男5人、女2人のこじんまりとした馴染み顔のショートバカンスで在るから、リラックス気分の非日常のスタートで在る。一卵性兄弟で在るから、弟も私も自然体で上々の気分で在る。
「処で、何持って来た?」
「古沢庵の丸干しを一本切って来て味の素振って、梅干し、特辛炒め味噌を持って来た。」
「俺は貰って使ってる梅干しと、山ゴボウの味噌漬け。」
ホテルは三連泊で、見所満載の宮古と橋連結のゆったり旅行を計画して居るとの事で在る。羽田から宮古へは、3時間のフライトで在る。同席で在るから、弟は旅行会社の宮古観行のパンフレットを何度も見て居て居るし、コロナで海外旅行が出来無かった分、社員旅行としては今回で3連チャン、その他でも行って居るので、大体の事が頭に入って居るらしい。
ロートル二人は、スマホは全然使いこなせないが、他の5人はスマホ世代で在る。スマホから情報を得たり、旅行案内パンフレットからの情報などをスマホに入れて、それを現地レンタカーのカーナビに入れて居る。
云う為らば『手創りプライベート旅行』の日程スケジュールにして居るのが、世代的特徴で在る。4人は色々とスマホ検索をして、飽き無い風で在る。
海外からの個人旅行でミラクル・ジャパン、クール・ジャパンが、スマホを羅針盤として日本を求めて殺到するのも、大いに納得出来る時代感覚で在る。
世界史記述では宋代の火薬、活版技術、羅針盤の発明が、測緯器、地球球体説に因って大航海時代を拓いて行ったそうな。拡大解釈をすれば、スマホは火薬機能が無いだけで『現代羅針盤』の最たる物で在る。個人が性能抜群の羅針盤を持って、大洋を航行する帆船から飛行機による『大旅行時代』と、考えるのが21Cと為ろうか。
旅行幹事がデザイナーの事務員・H子さんで在るから、男社員、旅行参加のお局様のスマホ参加が直ぐ様『参考映像の提供』と云う形で、ナビに連動してスムーズな形で進行する運びで在るから、日本人の沖縄レンタカー旅行が、国内海外旅行で人気な訳で在る。
空港横のレンタカーを借りて、先ずはホテルにチェックインして、部屋にバックを置いて、夏に着替えての昼飯食べに向かう。羽田では曇天の空では在ったが、宮古は『夏の空』で在る。
インプットした店は時間帯も在るらしく、開いて居ない。皆、空腹で店が開いて居たら、『即入ろう』の走らせで在る。おっ、3、4店目でオープンの兆しで在る。広い駐車場ながら車が2、3台の止まりで在る。コーヒー&洋食のハイカラ店で在る。
「Rちゃ、晩飯は美味かった去年の海鮮料理の店での宴会だから、洋風でも我慢って事だ。」
「おっ、分った。」
池風入り江の海に面した開放的な造りにして、明るく広いレストランで在る。私は持って来た物をテーブル2台に採って飯、ビールの摘みとする。テーブルには、島ライブのチラシが置いて在る。ギターとウクレレでの島唄ライブの紹介が為されて居る。
「おいおい、長野県出身のおネェちゃんだってよ。大学卒業してベトナムで活動して居たキャリアかいな。」
「ほう。どれどれ。」
弟にパンフを渡して、注文を取りに来た女性スタップに声を掛けると、後のカウンター席で髪を概ね白染めにした小柄で利発そうなクリクリした眼が特徴の若い美人さんが、挨拶に遣って来た。
「俺達も信州人だけど、出身は何処?」
「安曇野です。」
「近いな、俺達は松本。」
「えっ、地元じゃないですか。高校は○○高です。」
「何だ、○○生じゃ無いか。俺達兄弟も同じだぞ。」
「え~、先輩じゃ無いですか。奇遇ですね。」
「じぁ、大学は?」
「○○学院大学です。」
「惜しい、兄貴の大学と上は同じだったんだけどなぁ。兄貴は法学部だよ。」
「私はそこまで頭が良くなかったから。へぇ、奇遇の連発ですね。実は、昨日ベトナムから来たんですよ。此処で少しライブして、東京に行くんですけどね。奇遇に感謝して、先輩に歌います。聴いて下さい。」
気さくにテキパキと、ステージの準備をする後輩女性で在る。
いやはや、入った店で、こんなOB会が『アドリブの態』でトントン拍子に進んで仕舞うので在るから、奇跡の様な意気投合振りで在る。
私は自分の姿は見えないが、70の弟と28の二本線OBの雰囲気の共通性に『好い線を行って居る』と、母校の凄さを感じて、その有難さに感謝する心境で在った。
町内でも私好みの奥さんが居て、ひょんな事から言葉を交わす様に為った後輩女性が居る。その後輩さんに因ると、父親が男子番から高・二本線OBで、彼女も頑張って二本線高に入ったとの由で、「入って好かった」との由で在った。レベル、校風とは、『類は友を呼ぶ』の実態をマザマザと感じた次第で在る。
訛りの無い、透き通る明瞭な発音と音量の豊さ、整った目鼻立ちの貸し切りライブで在る。気に入ったら、以心伝心で通い合う開け広げの『二本線同心円の空気』で在る。
曲の合間に古沢庵の丸干しスライスを摘み、自家製梅干し、特辛炒め味噌を摘み、『故里の味』と懐かしむ後輩女性で在る。残りをプレゼントすると、ご飯が進むと大喜びで在る。
私は芸能界には一切疎い人間では在るが、意外と知る人は知るの『オーラの在る女性』で在る。積極的にロートル先輩の顔を立てて、二本線OBの『スマホの連撮』に誘って呉れた一時で在った。いやはや、ラッキーのバカンス初日で在る。
弟曰く。『どんな出会いが待ち受けて居るか。これが旅の面白さなんだ。最年長・俺の兄貴が興味が在れば、形振り構わず積極的に出て行く。その『敢闘精神』を見倣って呉れよ。』
左様で御座るか・・・敢闘精神と『スケベ精神』は紙一重の差為れど、人間、当たりぁ見っ付け物で、下手な鉄砲も数撃てば当たる事も在るって事らしい。
「そうそう、『旅の恥は掻き捨て』って云うから、スケベ男には負けちゃうけどさ。何しろ、この兄弟は一線を超えてるからね。火傷しない程度にアタックして見てよね。」
「おいおい、俺達は化け物兄弟に加えて、『変態兄弟』か。エレェ事言って呉れるじゃ無ぇか。」
「社長、昔から『鬼に金棒』って云うじゃ無いですか。バリアが強過ぎて高過ぎて、そんな度胸は、俺達には無いですよ。」
「Uちぃ、そりぁ違うぞ。Rちゃの場合は『鬼にチン棒』でさ、無尽旅行のロシアは一回で多数割れだったんだけど、リクエストが掛かって来て、一人で2回も行って来たんだぜ。」
「社長聞きました聞きました、無尽旅行の語り草に為ってるんだって。社長の話が上手くて、目に浮かぶ名シーン、珍シーンの数々ですよ。」
「なんだい、それは『個人的な誹謗中傷の流言卑語』じゃ無ぇか。火傷にはメンソレータム、日焼けには日焼け止めクリームで、男の心のスパイシーは、女スパイスって、物の本には書いて在った筈だぞ。俺ぁ素直だから、勇気を振り絞って『人間修業』してるだけだ。邪(よこし)な妄想は、自らの人格を貶(おとし)める愚行ってもんだぜや。俺の日本語解るずら。『潜りの日本人』じゃ無ぇだろうな。あい~。」
「またまた、Rちゃ、私は社長との付き合いが長いから、そんな屁理屈は『即、却下』だからね。そんな『変態人間』に付ける薬なんか、昔から無いのに、白々しい事を云うから、ビール吹き出しちゃうわよ。ねぇ、H子ちゃん。お兄ちゃんは、『要注意人物』だよねぇ。アハハ。」
「はいはい、女の口に戸は立てられぬ。お局様に逆らう程、身分が近く無いから、我慢するわ。人間って下衆は、如何しても誹謗中傷・流言卑語に惑わされちゃう。それが世の倣(なら)いだからな。そんな人間娑場の実態を映して、刑訴訟法では、伝聞には証拠能力は認められて無ぇんだわさ。
人間、客観力を培って置かないと、名誉棄損の罪を重ねちゃうんね。でも、此処の洋食は美味かった。」
ライブを聴きながらのゆったりした昼食食べ終わる頃に為ると、客入りが多く成って来た。好い貸し切りライブと記念撮影の連撮の後、ホテルに帰り、夕食宴会に集合して向かう。
体を運ぶだけの気楽さに気付かないだけで、段取り、会計を一手に引き受ける幹事役のH子さん、車を運転する社員さん達は大変で在る。
旅ガイドによると、安全牌を採って『予約』がうたわれて居る。予約で一杯の筈だった処が行けば、空いて居るとか、何かとガイドブックに『不信感』が生まれて仕舞うのが現実と云う物で在る。去年の昼食で美味過ぎるの料理で在ったが、同様の人気の料理を頼んだのだが、今一の食感想で在った。伊勢海老と是非とも食べて見たかったと云う『ヤシガニ』にトライした幹事さんで在ったが、・・・。
本場フィリピンのボラカイの自由行動の4人でのロブスターの値段の比較歩きをして、ロブスターと安値のヤシガニを、『試し食い』をした事が在った。その結果が、全員『異口同言』で、ロブスターの高さに大納得した経緯が在った。
まぁ、それでも人間で在るから、実際に食べて見ないと、解らない次第で在る。然しながら、何事も経験学習と云う物で在る。
『所変われば、価値変わる』の態で、ウナギとドジョウの喩えも出て来ようと云う物で在る。アハハ。
女性二人は、逆立ちをしても追い付けない『酒豪さん達』で在る。きっと常人には無い、『アルコール分解酵素』に恵まれて居るらしい。ジャキー・チェーンの酔拳の様な乱れは一切無い処が、妖怪の『ウワバミ体質』なのだろう。それで居て、アルコール依存症タイプで無いから、真に羨ましい体質で在る。
因みに、メインに出されたヤシガニのお値段は、一万数千円の高級料理だったとの由。
流石に旅行初日で在るから、同室の兄弟コンビは、早々にベットインしての豪眠の態で在った。
<2日目>
朝飯の宛てに、弟が梅干しと山ゴボウの味噌漬けを出して呉れた。
「おっ、色と云い、膨らみと云い、こりぁ、上品で高級品じゃ無いか。負けた。」
「言われた通りに、梅干しをさっと洗って、戻す時に使えと云われた梅汁に漬け込んでるだけだよ。何時も言ってるじゃん。兄貴の梅干しは最高だって。」
「でもさ、保存が利く様にコチンコチンの梅干しにして、それを使う分だけ戻して、自分為りの梅干しに還すなんて芸当は、感性の問題だぞ。お前さん、相当に育ちが好いんだな。上品な出来だ。手が変わると、外形も味も、こんな『逸品』に為るんだ。驚いた、脱帽だ。」
「梅干しをパッと見て、食べて、こんな話が交わせるんだから、俺達は好い遺伝子を親から貰って居るから、感謝感謝だよ。『えっ、社長が作ったの。凄い』で終わちゃったら、下の下で、張り合いが無いからさ。
梅の色付き・熟し具合の採り頃を見て、塩漬けして、庭の赤紫蘇の葉を捥ぎ取って、色付けさせて、三日三晩の土用干して、梅汁を保存出来る様に煮沸・濾してペットボトルで冷蔵庫保存。オール自家製だ。
美味い物には、その前提の手間暇掛けが在る。馬鹿のお座なりじぁ、名品は生まれて来ない。そんな手作りの価値が解らない世相は、困ったもんだわ。アハハ。」
兄弟のテーブルに、女性二人のお越しで在る。梅干し、山ゴボウの味噌付けを食べて、その感想に、弟が私の顔を見てニヤリと笑ったのは言うまでも無い事で在る。
海に当てて居たスケージュールで在ったが、生憎のお天気さんで在る。土産物を買ったり、海中博物館、海ブドウ、クルマエビの養殖場などの見学をしながらの天気の回復を待つ。
宮古では到る所、テッポーユリが自生して居る。今年は我が家でも、初めてのテッポーユリが咲く。そんな次第で、テッポーユリについつい目線が向かって仕舞う。。
海ブドウの直売所での発送をして居る間に、私は開いて居るビニールハウスの養殖槽の『勝手見学』をして居ると、ゴツイ感じの親父がヌーと入って来て、怒られるかと思ったが、顔・体格に似合わず、説明をして呉れた。
説明によると、今が旬の海ブドウとの由で、春に仕込んだ物が40数日を掛けての一番美味い『旬の時』との由。これからの仕込みでは、20日強の出荷と成るから、成長が早い分、大味に為るとの説明で在った。
実物の養殖槽を見てのマンツーマン説明を聞くと、生産者の現場説明は、水中博物館の学芸員的スマートな説明よりも、グッと解り易く多方面への参考と為る。
クルマエビ養殖の現場を見たいと言うと、2年前に病気の発生で全滅して、水産試験場の原因追求分析が出て、今年から再養殖が出来る運びに為ったとの事。養殖担当は親父が、販売担当は女房がの『零細商売』との事で在った。
A君が大体終わったと言って、呼びに来て呉れた。
旅はスケージュールで、お天気は人間スケジュールには合わせて呉れないのが現実で在る。限られた日程で在るから、シュノーケルに向かう。海に入って仕舞えば、愚図愚図お天気も、人間の勝ちで在る。然りながら、色彩は総べからず太陽からの賜り物で在る。
「Rちゃ、今日は寒いから、ウェットスーツ着た方が好いぞ。何しろ俺達は70代の爺だからさ。」
そんな次第で弟に手伝って貰っての着込みで、私は先頭を切ってのシュノーケルタイムにスタートとする。幼稚園以来の弟の面倒見の好さで、私には過ぎたる弟の存在で在る。
お天気の具合で客入りは少ないが、白砂ビーチと遠浅の海にはテーブル状のサンゴの凹凸が展開する海で在る。そんな環境の好さに、水中水族館以上の魚の多さで在る。私の横をライフジャケット、フィンを付けたA君が、通り越して行く。
年齢を考えると充分のシュノーケリングを愉しんだから、体力を考えて上がる事にした。現役で体力の在る弟の姿が、彼方に見える。
浜に上がると、思いの外、遠くに流されて居た次第で、借りたパラソルまでの歩きで在った。煙草を吸って帰って来ると、弟も歳だと言って、帰って来た。缶ビールと鶏のから揚げで一服を付けて居ると、徐々に帰って来た。
海カメが2匹居たとか、海蛇が泳いで居てゾッとしたとか、色んな発見が在ったそうで在る。皆が集まった処で、軽くビールに摘みの軽いランチタイムとする。
腹に収めて一休みした処で、再びのシュノーケルに向かうのを尻目に、最年長の私は奥の方の岩礁の海に興味が湧いて、ビーチ散策に赴く。客の来ない一帯なので、打ち寄せられたプラスティックのゴミ、流木、ヤシの実などが散在して居て、『海は広大に繋がって居る』の眺めで在る。暫し、漂流者ロビンソン・クルーソーの『擬似連想』を働かせて観る。
比重・浮力の関係で、サンゴ片は寄せる波、退く波の波幅を丁度時計の振り幅に応じる様に、端と端に堆積させて居る。砂とサンゴの比重の違いを、こんな風に目視出来るのも、体力の衰えに伴う発見でも在る。
そんな事に興味を持って戻って来ると、灰色の層が在る。ナンジャラホイと手に取って見ると、『軽石の粒層』で在った。
何年か前に、軽石が大挙押し寄せて『大ニュース』に成って居た事を思い出した。そう思って見て見ると、灰色の軽石を集めて部分が幾つも在る。
左様で在ったか。去年の沖縄の海の綺麗さは世界一と感嘆しての眺望の数々で在ったが、集客力の在るホワイトビーチの維持を苦心して居る人達の努力を見れば、利用料金の高さに文句は言えない次第で在った。
弟は白浜の穴を、棒切れで穿(ほじく)って居る。私の遺伝子は妖怪様に依拠して、弟の遺伝子は親父に依拠して居るの構図で在る。そんな光景を見ると、就学前の私と3歳の幼児期に父親を亡くした環境下に育った者でも、その遺伝子と云う『体内の地下水脈』を通して、時々地表に湧出する水の存在に、代々受け継がれて来た『血筋と云う物は争えない』の納得が得られる物で在る。
『人間は一代にしては、生まれて来ない』の証左で在る。砂地深く身を潜(ひそ)めるカニに、目下、『傾注の弟』で在るから、邪魔をせずに『灰色の帯は軽石だよ』と云って、パラソルに戻る。
弟の日頃のきつい肉体労働に対する『慰労の社員旅行』で在る。心行くまで、楽しむのが旅行の主旨で在る。一度海から上がって仕舞うと、流石に古希坂兄弟で在るから、再び愚図ついた海に入る勇気が無い次第で在る。
それでも、こうしてゆったりと非日常の人生のリラックスタイムを持つ事が出来る年齢域に達して来ると、これもまた『善き人生サイクルの進み』と云った具合で在る。
夜はステーキとハンバークの店で、夕食を済ませる。肉派の弟には肉の味が解るが、魚派の私には魚は解るが、肉音痴で余り解らない次第で在る。因みに、弟の顔は合格点の出無い顔付で在った。
スナックで夜宴会と云う事に為った。此処でもスマホナビが活躍した。その界隈から一軒チョイスして、幹事さんが予約を入れる。狭い一方通行の道をタクシイ2台で到着とする。その界隈に明かりが付いて居るのは、その店だけで在った。???。
貸し切り状態で在る。ママさんによると予約7名にはトラウマが在って、予約に気を好くして居たら、『予約詐欺』に在ったとの由で、気乗りし無かったそうで在る。
チャカチャカ、見知らぬ所でもスマホ一つで、事が足りて仕舞う『簡単便利な御時世』で在る。音声伝播は瞬時にして世界を駆け巡るが、顔の見えない世界は、その分、個人が試される信頼を『絶対基盤』として居る。
従って、自分だけ、その時だけの『御都合主義者』の手に掛かると、真に受けた者だけが損を見る社会と為って仕舞う。そんな簡単便利な点と点を結ぶだけの弊害は、怖い社会の深層なのでも在ろうか。光と影は、世に付き物で在る。
観光地とは余所者が一時、遊ばせて貰う、利用させて貰うの謙譲心が無いと、地元生活者の反発心を産む結果と為る。今流行りの自分だけ、今だけ、金だけの『不遜的一過性の行動パターン』は愚の骨頂で在る。
「あっそう、ママさん好いから好いから、歳増だけど内の2人使ってよ。」
「押し掛けちゃって、御免なさいね。ママさんはカウンターで指示して、出前ホステスするから。大丈夫よ。」
「飲んでばかりだと、太るだけだから、確り働け。」
「あら、宮古には一見(いちげん)さんなのに、元気じゃ無~い。私、出張ホステスの花子で~す。何欲しいの、ドンドンオーダーして。宮古を潤して~。夜は長いんだから。」
ビールで乾杯して、その後は角瓶、焼酎各種のボトル入れで、怒濤の会社宴会への突入で在る。
一見客の予約反故(ほご)に現れる沖縄民と本土民の気持ちの擦れ違いに、ママさんの本土民の潜在感情を拝聴する。物をハッキリ言うのが、如何やら沖縄の県民性らしい。本土に対する辛み恨みが充満して居るらしい。
明代の琉球王国の栄華が、島津侵攻、清・日への朝貢、明治政府による沖縄版廃藩置県の『琉球処分』の言葉尻が大東亜戦争時での『ひめ百合の塔』に代表される唯一の上陸戦争、その後の米軍占領と地政学的軍事拠点としての軍施設・・・etcで、平和に関しては、特大の被害者感情を持って居る土地柄らしい。
一般感情論としては、大いに頷ける物の、事、具体論と為って仕舞うと、『一書悉(ことごと)く信ずるは、書無きが如し』の法学部脳味噌にスイッチが入って仕舞う。沖縄がひめ百合の塔なら、本土は学徒出陣、神風特攻隊、原爆、東京焼夷弾、シベリア抑留・・・etcも在る。
沖縄ではどんな歴史教育が為されて居るのか、ついつい意地悪な質問をして仕舞うのが私の『悪い癖』で在る。一般的には学校でそう教わったの感情的反発を受けて仕舞うのだが、日本史と世界史の比較検討をしながら、自分軸の日本史、世界史の通史を見比べながらの、総合歴史観も在れば、沖縄観も在る次第で在る。
へへ、島々を縦横に繋ぐ巨大橋は本土だったら、当然に有料橋で在る。
それが本土国民と沖縄県民の言わずもがなの根底に在るのだろうし、本島での三山時代を象徴する城壁(グスク)の戦国統一戦争。明代・鄭和の南海大朝貢も永楽態一代で再び中国伝統の海禁策に戻り、南海貿易の旨味を放棄する訳には行かなかったので、福建・広州の中国人が、大量に移民して明の南海貿易の『ダミー』として中継貿易の利を手に入れた琉球王国の栄華を如何解釈して居るのか。琉球処分で解放されるまでの島民の税負担は、土地税と人頭税で在る。
土地は農民にとっては収穫の根源で在るからして、所得税の様な物で在る。赤ん坊から年寄りまで『一律に頭数』で税を徴収されて仕舞っては、日本の『五公五民』の比では無かろうに。中国同様に、そんな税体系は支配する者と支配される者の独裁王朝と奴婢の国柄と断じるしか在るまい。
朝鮮半島、琉球も地政学的環境の為せる処で、多分に『事大主義的思考』が作用して居る。私には、韓国の『恨の精神』に共通する処が垣間見られる。禊(よそぎ)をして、水に流すとか、人智としての『時効』を適応させると云った好い意味での割り切り方が出来ない部分で、『感情論的処置』をして仕舞う外への閉鎖傾向が、私としては身内文化の島唄ライブに結び付いて居る様に感じられる次第でも在る。
許す事は、拘(こだわ)り続ける自分の心を許す事なのだが、許す対象を他にだけ向け続けるのは、千年経っても、決して日本を許さずの『懲りないコリアン思考法』と思うのだが。
○×マークシートの試験じゃ在るまいし、大人に為っておかしいと思えば調べるのが、大人の道で在ろう。そうすれば、それなりに『思考の軌道修正』も出来る次第で在る。
私は頭が悪いから、私の中に流れて居る日本人としての血がおかしいと思えば、『鎮静剤』としての知識量を増やして納得して行く事しか出来ない性分で在る。
遅く成って常連客の訪れで在る。島で在るから、『仲間内文化』が根付いて居るのだろう。良心的な店で、明日も来るからとお開きとする。女性群二人は、ホテルが近いからと云って徒歩帰りとするそうな。
<3日目>
ホテルの朝飯バイキングが、美味い次第で在る。朝飯は7時からで在る。ホテル前には立派な対のシーサーが立って居る。作るから、好く見て置く様に云われるが、私には理解出来ない次第で在った。歳の所為で、明るく成ると自然と目が覚める。
スモーキングタイムで、オープンするまでの間を玄関横の喫煙場所で過ごして居るのだが、不思議な事に初めて気付いた。
沖縄の空には、『燕』が居ないので在る。成る程信州と違って、沖縄ではツバメは冬鳥と云う事なのだろう。呑ん平ウーマンコンビは、ホテルには直行せずに飲んで来たとの由。ご立派!!
今朝のお天気は最悪の雲行きで在る。宮古沖では自衛隊ヘリコプター墜落事故で、サルベージ船が2隻、そして小型自衛艦が引き揚げ作業をして居るし、島内では何度か自衛隊の車と遭遇する事が在る。
雨で海は駄目で在るから、植物館を見学する。観光スポットで在るから、普段お目に掛かれないバナナ、マンゴ、パパイヤ、パッションフルーツ、名前の思い出せない物、南洋花の数々を見て、私の様な者からすると、蝶、小鳥、孔雀などが放し飼いにされて居たら、様に為るだろうなの素晴らしさで在った。
お薦めのバナナジュースを飲んだ。土産物の東京バナナより、美味かった。ハウス栽培のマンゴの樹相が、横に伸ばす為に樹高下げで『蛸足仕立て』に為って居るのには、脱帽の『人間知恵』で在った。これを見て、島のハウス栽培の中身が、マンゴで在る事に合点した次第で在る。
次は大橋が出来るまでは『宮古随一観光地』の灯台を、眺める大小様々な岩礁の海で在った。武蔵坊弁慶では無いが、『絶景かな、絶景かな』の壮大な景色と、整備された後継地で在った。鳥の鳴き声を追っての遊歩道を行く。小さな小鳥と首から下に色を持ったカラスバト?らしき物を見た。
お次は本日のメインとの事で、植物庭園風の敷地の中にガラス、貝、粘土で作るシーサー棟が並んで居る。
あっ、そうか。それで、ホテルのシーサーを好く見て置けとの事だった訳で在る。
兄弟並んでの粘土教室で在る。
「ねぇ社長、誰が一番で作るかしら。」
「そりぁ、Rちゃだろう。」
私は不器用で在るから、参孝のシーザーなど在っても、模造出来る器用さは皆無で在る。
隣の弟からは、集中力の手運びが伝わって来る。完成は殆ど一緒で在る。
デザイナーのH子さん曰く。
「やっぱりこの兄弟は、他の人とは全然違う。二人とも好い出来だわ。Rちゃ、社長の作品は如何?」
「うーん、一言で云えば、頭が好いな。要素分析をして、不要な物は削(そ)ぎ取ってる。迷い無く、肝を決めてる。相当な直感力と仕上げの速さは、優等生だわな。躊躇(ためら)いの無いストレートさが、『切れ』を産んでる。作品は、性格を現わすって事なんだろうな。」
「じぁ、社長はRちゃの作品は、如何見るの?」
「絵と同じで、縛られない感性でササッと仕上げちゃう。普通じゃ逆立ちしても、こんな発想は出て来ないわ。俺は『ワンユーモア』でベロに玉乗せしたら、重みで舌が落ちちゃって、失敗扱いたって訳さ。」
「もう出来たんですか。わっ、二作とも主張してますよ。個性的ですよ。」
物作りは、人を真剣にさせる物らしい。そして性格を映し出して仕舞う物らしい。皆さん、几帳面な摸作に励んで居られる。お局様が、手を加えれば加える程に軟体動物に為り下がるシーサーに、ヒィーヒィーと笑い転げて居る。
さて、次為るコースは、大型バスを改造したエビを添えたニンニクバターライスで在る。いやはやワンメニューながら、満車状態の殺到振りで在る。風の強さに空物がすっ飛んで行く。海の眺望を見に散歩道を進むと、奥でNHKの取材班が沖の自衛隊機の引き揚げ映像を撮る為に焦点を当てて居る。流石に、『世界に誇る撮影機材』で在る。手元の画面には、確り鮮明画像が見えて居る。
お次は青の洞窟の道すがらに、ハートの洞穴を見に行く。パンフレットでは大きな洞穴と映って居たのだが、最初はその小ささに???で在ったが、首を30度くらい傾けて接見して見ると、成程、パンフレットの写りと相成った。
さて、『青の洞窟』は如何に?で在る。島の原生植物の生い茂る小道を抜けると、思わず感嘆符の出る『神秘さ』で在る。青い水を満々と溜めた大きな池が二つ並んで居る。これで太陽に恵まれて居たら、神秘度は数倍に増す事だろう。池の満中に反対に抜ける橋が掛かって居る。
「池は繋がって居るか」の社長質問に、橋の下は見えないから、皆、真顔の見比べで在る。
水面の位置が同じなら、繋がって居る。別水位なら別池と相成る。岩石帯を両池とも垂直に落下した感の在る並びで在る。池の側面、底部が割れて居れば、理屈としては通じた池で在る。自然石の滑落様相で在るから、人工的コンクリート池では無いから、繋がって居ると推理するのが『妥当の線』で在る。
社長の提言で在る。「目の錯覚か、理屈で考えるか。それが問題だ。」
皆で思案した結果は、水面同一説に落ち着いた次第で在った。男女7人旅は、人数的に適当人員らしく、こんな遣り取りが出来るから、アットホーム的な面白味が在る。
海に繰り出す事は出来無かったが、こんな陸地観光が出来たので在るから、宮古は見所満載の沖縄旅行のベース島と云った趣で在る。
晩飯は土地野菜、海藻天ぷらを売り物にする島唄ライブ酒屋で在る。
アットホーム酒屋と云えば、聞こえは好いが、揚げ物ばかりだと、味も素っ気も無い次第で在る。宮古最後の夜で在るから、昨日のリーズナブルスナックで大いに歌おうと云う事に決定した。
「Rちゃ、トマトジュース用意して在るかな。如何見る?」
「俺は、無いと思うよ。」
「そうかな、俺は有ると思うよ。」
店に入ったら、遺憾いかん。店のサンダルを入って来て仕舞った。飛んだ粗相をして仕舞った。帰りに『靴を取りに行かねば』で在る。次のタクシイが来て、A君が私の靴を持って来て呉れた。
「サンダルは返さなくても好いと、言ってましたよ。」
「いやいや、申し訳ない。アリガトウ。」
全員揃った処で、宮古旅行最後の夜で在る。トマトジュースは無いと云うので、ビールの後はウィスキーの水割りとする。のっけから、ハイテンションのカラオケモードで在る。
社長を先頭に、出るは出るは、続くは続くのハイテンション・オンパレードで在る。皆さん、お上手で在る。私も歌、雰囲気は大好きなのだが、音痴で一切歌えないのが羨ましい限りで在る。とほほの極みで在る。工作のシーザー教室では無いが、歌にも選曲、歌いの個性が在って、見て聴いてー居るだけでも、私のテンションも高揚して来る。
飲んで歌っての宮古の夜は、大音量に更けて行く。
其処へ4人客が入って来た。ママさんの同級生達との由。大柄な体格の頑丈な客が一人、カウンター席からこちらを見て居る。
仲間に為ったら、島唄の県民性で在る。
カラオケに合わせて踊り始める。その内に、Uちぃと意気投合した様で、お互いのTシャツを脱ぎ合ってのTシャツ交換と為り、其の儘、同席と相為った。船を持って宮古の海を案内して居るとの由で、今度来る時は、宮古一の海を案内するとの由で、名刺交換をする。長野県を気に入っていて、長野は何回も行って居ると云う。明日はモズク漁が在るから、最高のモズクを格安値段で発送するとの由で在る。
12時まで、ハイテンションで歌い、飲んでのお開きとする。歩いた方が早いと云う帰りで在った。明日は移動日で在るから、酒豪連はホテルに帰っても飲み続けるとの由。Uちぃは、沖縄の友達の居酒屋に寄るとの由。
<4日目>
午後のフライトで在るから、ゆっくりの朝飯で在る。女酒豪連は2時過ぎまで飲んで居たそうな。空港までの時間を土産物の追加などをしての時間潰しとする。搭乗手続きをして、昼は待合ロビーで宮古そばを食する。帰りの便は行きの便とほぼ同様の顔で在った。
三泊四日の宮古の旅は、初日と最終日が晴れただけの天候には恵まれなかった分、ショート、ショートの島内巡りが出来て、天候に恵まれた去年と足して2で割れば、海に陸にとバランスが好かった沖縄行で在る。来年はコロナ騒ぎも収まって、通常と為ろうから、フィリピン行でゲストハウス泊まりと為りそうとの事で在る。
無事羽田に戻って来た物の、帰路は渋滞渋滞の続きで、帰社は2時間遅れの11時着で在った。
2023/5/5・・・風吹き抜ける二畳小部屋にて、by アガタ・リョウ。
スポンサーサイト