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長駄文館・・・ぶっ掛け屋寸描為り。

ぶっ掛け屋寸景為り。(1/11/18)
 いやはや、今日も寒いじゃござんせんか。食後の二畳小部屋は、冷え込みに寒くて堪らないから、カーテン遮寒で在る。背後の小窓を開けて、西のアルプスを見れば灰色の中、「吹雪いて御座る」の態で在る。漸く、強のコタツが熱く成って来た次第で、何時頃に気温の上昇が在るものかと、気掛かりにも思う。

 世の中、リハビリで毎日の散歩運動を励行為さっている御仁も多々在ろうに。そんな健気な心に、寒気が邪魔をする。体調芳しからざるT、M氏の事を考えると、心浮かぬ日々なのだろう。

         こんな寒い日には、何年振りかで『ぶっ掛け屋』に登場して貰うしか在るまい。

「おいおい、上さんや。冷え込みが続いての正月明けだ。今日のメニューはシチュー、肉ジャガ、白モツの煮込みにしようじゃ無いか。」

「オゥ、ダーリン。それ、日本の冬の定番。一杯500円のぶっ掛け屋の人気メニューですね。」

「ああ、その通り。煮込み料理は、煮込む程に味が出る。皆、核家族で一歳児二歳児まで託児所に預けての共稼ぎ家庭だから、外で美味い物を食べる事に慣れて居る居るけどさ、家庭の煮込み料理程、美味い物は無いのさ。云って観りぁ、日本人が忘れつつある家庭料理の煮込みを、昼に丼にぶっ掛けて、提供して遣るのか俺達の趣旨ってもんさな。」

「そうそう、それがダーリンの云ってる此処の店の、煮込み料理の代行料理でしたね。大量に仕込んで、暖房用のストーブの上でコトコトですね。」

「その通り、ことこと煮込むで作るのが、お袋の味だ。家庭の主婦が、勤めに駆り出されちゃってるから、家庭では手間暇掛ける家庭料理が寸断されて仕舞ってる。大家族だったら、現役引退の祖父母が家庭にして、家庭料理を代行して、子供教育も出来る筈なんだけど、口を開けば女の解放オンリーの自己中文化が進展して居るだけだ。時間軸を自分一人に取らず、子、親の少なくとも三世代間の時間軸で捉えれば、少しは足るを知る生活文化の担い手に為れる筈なんだけどさ。子供は出来ないが、ロシア人にしちゃ、好い呑み込みだ。」

「オオ、それは、間違いです。出来ないのはダーリンの所為でしょ。私に欠陥が在る見たいな事は、私は、断じて容認出来ません。撤回して下さい。」

「おいおい、そりぁ、テレビ、ラジオからの感化で、何処ぞの国の政府高官の物云いだぜや。そう云うのを『オウム返し』『減らず口』と云ってさ、日本の古風な仕来たりの中じぁ、高得点は貰えないんだわ。」

 さてさて、柱時計は10時に差し掛かろうとして居る。11時に成ったら、鍋をストーブの上に載せて、遠赤外線の中まで浸透する火に掛けて、昼限定食堂の部屋暖房をするとしよう。

「今日は白モツの煮込みだから、七味とネギの刻みが一杯居るぞ。」
「勿論、ネギの刻みは私に任せて。刻んでサッと水に浸けて、笊に取って置きます。」

 早い客は11時半には遣って来る。それまでの一時間強の時間はこの日本ロートル親父とロシアウーマンの歳の差婚と云うか、師匠と弟子の寛ぎの時間で在る。奥の客間の和室のコタツで、沢庵漬け、ミカンで日本茶を飲む。

「ダーリン、硬大根もそろそろ行けそう。今日はミヤシゲと硬大根を付けて見ようかしら。此処のお客さんは、ダーリンの漬け物ファンが多いから。そろそろと『待ってる』んじゃないかしら。うんうん、美味しい。毎年、同じ風に漬けても、毎年、其々の味がして来るから、不思議な物ですね。」

「ああ、そうかい。奇麗な金髪白人さんが、選りにも選って、日本の庶民の味・沢庵漬けを頬張ってるんだから、世の中も変わったもんだ。」

「何言いますか、私はロシアでは日本文学を専攻して居たんですよ。卒論は『ロシアと日本の叙情性に就いて』でしたよ。私の日本研究は、年季を積んでるんですよ。そして、目下、私のテーマは『日本の丼飯に就いての実践的考察』なんですよ。私は、優秀な学生だったからも論文が完成したら、当然『博士号』を取得出来る自信が在ります。」

      サイざんすか。指南役に恵まれて居るから、それも遠い先の事でも在るまい。へへへ。

「それでも、今年は大きな問題が在ります。不作で、何時もの倍以上の出費で分量は、何時もの半分以下でしょ。これって、4倍の開きでしょ。ダーリンのコンセプトは、『喜んで貰えれば、それで好し』でしょ。お客さん以上に、ダーリンの男料理、漬け物の一番のファンは私ですからね。今年は貴重品だから、セーブしなくちゃ。ロシア女の本領を発揮しなくちゃ。オホホ。」

 さてと開店のお時間で在る。リビングキッチンを改造した住宅内の小さな食堂に、客が入って来た。

「ガンさん、奥さん、明けましておめでとうございます。今年も、家庭の丼飯に通わせて貰いますよ。今日のメニューは?」
「シチュー、肉ジャガ、白モツの煮込みに野沢菜、沢庵漬けだよ。」
「どれどれ」

    其処は、常連さんで在る。深鍋の蓋を取ってスプーンを入れての味見で在る。

「モツ煮は柔らかくて、良く炊けてますね。これをお願いしますわ。」

 熱々の白米の上から、シャモジで掬って載せ、たっぷりの薬味ネギ、七味を振り掛けて、アチャチャと飯頬張る。焼けた舌には野沢菜、沢庵の舌冷ましで在る。ネギ、豆腐、ワカメの定番味噌汁に箸を付けて、ああ、美味い日本人には、熱々の味噌汁だと納得顔で在る。

 6人掛けのテーブルに、客が次々と入って来る。シチュー丼、肉ジャガ丼、モツ煮丼と、皆好みをチョイスして、明日は何々を食べようと舌包みを打つ。

「奥さん、沢庵漬け持って帰りたいんだけど。」
「ごめん、今年は高値だったから、『有料』でお願いしたいんだけど。それで好い?」
「好いさや~。工業品じゃ無い手作りの味だもの。帰りに寄りますよ。」
「じぁ、用意して置くわね。」
「俺は、モツ煮をテイクアウトして、晩酌の肴にするから、帰りに寄ります。」
「好いわよ。書いて置くからね。」

    此処は行列こそ出来ないが、リクエストの利く常連客とのマンツーマン食堂で在る。

         アルプス下しに小雪の叩き付ける冬の信州は、酷寒の地で在る。
 酷寒の地に於いてこその煮込み丼飯の美味さが、郷愁を誘って格別の味と成る。そして小皿の手作り沢庵漬けの人の手の温もりが、常連客と共に小商いをする歳の差婚の夫婦の姿なのだろう。

           以上、何年被りの『ぶっ掛け屋寸景』と致しました。へへへ。

 変り種のブログ打ちを終えて、そろそろ11時で在る。寒いか我慢出来るかは、外に出て見なければ分らない次第では在るが、体調回復確認に散歩に出向くと致そう。

    いやはや、ブルブルの格別の寒さで在る。半分コースで逃げ帰って来た次第で在る。とほほ。


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