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長駄文館・・・M先輩の終活始め為り。

                M先輩の終活始め為り。(8/6/18)
       「居るかい?」と庭に声で在る。行けば、M先輩とお伴のワンちゃんで在る。

 Mさんは終活を始めて、置き時計を貰って呉れ無いかと幾つか持って来たと云う。短パンに裸ん棒で在ったが、帽子を被って車のトランクの品々を見せて貰う。大正琴も好いぞと云われるが、音楽1の不器用者には、装飾品にも為らない。置き時計2個を頂戴する。

 偶にはゆっくり話したいから、涼しく成ったら顔を出すと云うと、送り迎えをして遣るよと云われる。散歩替わりに、自転車で行きますわと云う。

「7時か。飯は如何する?」
「残り物を片付け無くちゃ為らんですから、食べて行きます。」
「おっ、そうか。じぁ、俺も済ませて置くわ。手ぶらで来てよ。じぁ、待ってる。」
 
 本日、2度目のシャワーを浴びて、自転車に乗る。いやはや、連日の熱暑に、昼は動けない次第で在る。行けば、Mさんは鉢植え物にホース散水中で在る。ミニトマトの植え込みは、土目が少ないのだろう、大きく成り過ぎて大分枯れが進んで居る。

「今年の夏は、異常だ。もう、遣り切れんわ。」

 中に入って、先ずは出して呉れた缶ビール、ナッツ、チーズのツマミで、ゴクリで在る。口慣らしで、映画の話からスタートする。近くに行政書士仲間の人が居て、一度、奥さんの従弟で元映画館主と一緒に飲む機会が在ったそうな。酔いが回って来て、彼が実は若い頃、大映のニューフェイスだったと云う話をして呉れた。

 Mさんは北大時代に何回かエキストラのアルバイトをして居たと云うエピソードを聞いた次第でも在る。演技の合間に海岸で独り居る、飢餓海峡の三国連太郎さんの印象が強く焼き付いて居ると云う話で在った。団塊世代までは、映画世代で在る。

 Mさんは丁度、私の亡長兄さんと同じ年頃で在るから、兄が合格して居たら、学友だったかも知れず、諸々の観点から、私はMさんに兄貴の雰囲気を感じて居る次第で在る。Mさんの下の弟さんは、私と同歳で大学も同じだった?らしい。
そんな次第で、私を弟として何かと心に留めて下さって居ると思われる。三人兄弟の長男のMさんだけが、健康で弟さん達は、皆病気持ちとの由。兄の立場からすると、節制が足りないとの『お説教物』との由で在る。

      東京生まれの東京育ち、思えば遠くに来たもんだの人生の振り返りと相為った。

 明日はゴミ出しにテレビ2台を車に乗せて、処分場に持って行かねば為らないと云う。もう歳で、やっと上から下ろしたとショゲルから、「俺に任せましょや。お安い御用ですわ」と買って出る。

 この処、行李(こうり)一つを目標に、片付け仕事に取り掛かって居るとの由。そんな次第で、会社時代の事を、色々話されて呉れた。課が違って居たから、殆ど話す事は無かったが、一目も二目も置く先輩で在った。半生を振り返る様な思い出話には、得る処が多かった。

※行李・・・竹、柳で作った衣類などを入れたり、送ったりする道具。団塊世代までは、書生、旅立ちを象徴するノスタルジー感が在る。
 唄的に云えば、小林旭さんの唄う世界、北帰行、惜別の唄に表現される好漢の心情に繋がる道具で在る。男の心情を共有する世代には、『行李』の一文字だけで、説明を要しない心象語と為る。へへ、Mさんの以心伝心の表現で在る。

      行李の言葉で、旭さんの唄の巧さに話題が行き、面白い話をして下さった。
「Rちゃん、小林旭と美空ひばりの離婚原因を知って居るかい。」
「週刊誌的な事は知っますが、・・・。」
「一説には、或る時、旭がひばりに、歌が下手だと云ったのが、原因だったって話も在ってさ。」
「そりぁ、初耳ですが、この歳に為ると、何と無く解る様な気持に為りますね。」
「なぁ、そうだろう。」

「日活時代の小林旭は、まだ若過ぎて、髭の薄さで何処となく『爬虫類』の様な感じがして、日活映画では赤木圭一郎と宍戸譲さんが好きで、それ以外は余り観て居なくて。
 日活が駄目に為って、客分扱いで東映のやくざ映画、ギャング映画に出演して居た頃とか自主製作の映画が失敗して、色々、苦労して行く内に、中年以降の旭さんが好く成りましてね。
 同じヤクザ、ギャングを演じて居ても、東映には無い味が出て居て、唄と共に、これは何処から来る物だろうか・・・。なんて考える様に為りましてね。そんな過程を経て、旭さんが好きに為って行ったんですけどね。へへへ。」

       Mさんは缶ビールを飲みながら、ニヤニヤして私の感想を聞いて居る。

「なぁ、そうだろう。強ち、信じられない事でも無いだろう。Rちゃん、もっと飲んで行くか。」

 マンドリンが3つ在るからと云って、部屋の装飾品に為るから、一つ持って行けとの由で在る。私は夜更かし派では在るが、Mさんは年長者で在る。お礼の力仕事をしてお暇をするべしで在る。

「おっ、悪いなぁ。じぁ、車の向きを変えるよ。」

 後ろ付けと成った車のハッチを開けて、入れようとすると。

「待て待て、一人じゃ重いよ。」
「馬鹿扱いちゃ行けねぇわね。俺ぁ、人間起重機だんね。一人の方が安全だんね。」

 ひょいと腹に抱え上げて、先ず一台を入れる。もう一台を考えて向きを変える。
「座席を倒さなきぁ、無理だろう。Rちゃん。」
「先ずは、遣って見るせ。」

 もう一台を載せて、縦置きにすると、収まった。ハッチを下げるMさんで在る。
「おいおい、ぴったりだ。Rちゃん、遣るねぇ。大したもんだ。」
「楽器は弾け無ぇが、力だけは未だ現役だいね。」

 帰ると云う私に、Mさんはマンドリンに傷が付かない様に、丁寧に包装をして呉れて、書道に使う上質の紙の束を、メモ帳に使えと入れて下さり、私の色鉛筆画に奥さんが使って居た色鉛筆が在った筈だと探して呉れる。結局は無かった次第では在るが、丸で兄貴の様なご仁で在る。アハハ。

 M先輩の終活では無いが、平成の御代も昭和から換算すれば90有余年で在る。日本の戦前の残滓を繋げて来た好漢達も、一人去り二人去りして、身辺整理の終活の緒に着いて居るのだろう。後10年もすれば、私の番で在る。

 明けて本日、もう少し寝て居ようと考えて居ると、玄関にヤクルトママさんのコールで在る。諸般の事情による朝一番コールの様で在る。パジャマ姿でヤクルトを受け取った次第で在る。

 止む無し。起きると致そうか。炊飯器をONとして、煙草を持って二畳小部屋での本日分ブログ打ちを始める。打ち終わる頃に成ると、キリギリスの声と外のミンミンゼミの声が煩く成って来た。本日も、熱暑猛暑の始まりで在る。弱った物で在る。水槽の補給水を汲んで来る。

    四畳半に移って、PCを開いて居ると、配り物中の一本線殿が、窓の所に遣って来た。

『役員減で、遣っちゃおられん。』との泣きが入る。久し振りの言葉交わしで在るが、この暑さで大分萎びて来て居る。

 お互い、こう云えば、こう。ああ云えば、ああの軽口の叩き合いで、『俄漫才コンビ』の様なもので在る。会議と配り物が増えて、遣り切れんとの由。

 根が真面目人間なのだろうが、表面好い加減親父を振舞っている同士で在るから、駄洒落連発の口鉄砲が楽しい次第でも在る。また、無類の女好きで在るから、知らず知らずの内に下ネタ話に発展する処が、真に好い次第でも在る。
 学年も学校も違うから良かったものの、中学辺りで同級生とも為って居たら、Oと同様に、月影兵庫と焼津の半次の名コンビを結成して居たのは間違いのない処で在ったろう。

 終いには、授業から摘まみ出されて仲良く廊下の立ちん棒で、漫才の続きを仕出かして、放課後の職員室お説教を頂戴して居たのだろう。類は友を呼ぶの困った類で在る。ギァハハ!!にして、お努め、ご苦労さんにゴザンで在る。



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