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夢奇譚第33部・・・縄文に、天尊降臨す。

                 夢奇譚第33部・・・縄文に天尊降臨す。
 <その1>
 2018年も後数日を切って仕舞った。平成最後の年で在る。私は相変わらずのロートルマンネリの中に、埋没した日々を送って居る。今冬は寒暖の差に揺れる日々で在り、一年を総括する一文字には『災』が、宛がわれた次第で在る。秋の長期予報によると、暖冬と云われて居るそうな。

 日課の散歩をすれば、西のアルプスは峰々に冠雪が連なるし、東山系の奥、東南の鉢伏せ山にも冠雪が見られる。散歩周回コースを行けば、採る人も居ない柿の実も、熟しに粗方が落ちて、残り少ない破れた柿の垂れに、寒雀達が群がって居る。今年の冬枯れの葦の川原には、渡りの冬鳥の姿は殆ど見掛けない。それでも冬の群れの時季を迎えて、流れの淀みには定住者のカルガモ達が集まって居る。

 太陽さえ出れば、廊下はサンルームと化すが、西に傾けば寒暖の差が激しく、今年の私は時間帯に依って、半纏を脱いだり着たりの温度調整の過ごしで在る。

 寝室にして居るコタツで、晩飯の支度までの小一時間を大の字に成って、夜更かしに備えての微睡の中に居ると肩を揺すられて起こされた。

「アナタ、これ何よ、まるで蓑虫さんねぇ~。冬眠してるの~、独り暮らしでも、駄目でしょ。だらしが無い。」

「おお、誰かと思えば、異界の女・ナターシャ様じゃないか。そうか、娑場はクリスマスで、魔法使いの出番が無いんだろう。お前さんと違ってさ、俺は生身の人間だから、信州の冬は寒いんじゃい。貧民省エネの術、生活の知恵が、分からんのか。」

「何よ、そ~れ、私の出身はウクライナよ。この位の気温で音を上げて、蓑虫じゃ男の癖にだらしが無いわねぇ。異界から相棒が来て遣ったのよ。はいはい、起きて、起きて。日本のおもてなしを、して下~さい。」

 ライオンの高い鼻をピクピク動かして、顔に似合わない低温ハスキーボイスで起こされて仕舞った。

「俺は男だから、女族と違ってインナーの皮下脂肪のダボ付きが無いんじゃい。」
「相変わらず、減らず口だけは達者ね。まぁ、それも元気の内だから、許して上げるわ。一応、元気で安心したわ。ハイ、チュゥして上げるわよ。おほほ。」
 ズケズケの物云いは、変わらぬナターシャ口調で在る。私はどちらかと云うと奥ゆかしい口で在るから、この位ズケズケ云われた方が、何かと話しが回る次第で在る。

 寒いから、コタツにするかと問えば、足が痺れるから椅子が好いと云う。白人世界はレディファーストらしいから、六畳戯画廊のストーブを焚いて部屋を暖める。例え異界の女・ナターシャと云えども、男とは美形を目の当たりにすれば、瞬時に身も心も活性化して仕舞う。好い女は、何時見ても好い女で在る。アハハ。

「どうせ、暇なんだろうから、丁度好い時に顔を出して呉れた。ゆっくりして行けや。」
「勿論~。その心算で遊びに来~た。異界に居ると食べる必要は無いんだけど、現世に戻って来ると、お腹が減るものよね。探して来ようっと。おほほ。」

      これ見よがしに、プリプリのヒップを振り振りして早くも、お誘いの魂胆で在る。

 まぁ、それはそれとして。冬の寒さでは在るが、リンゴ、ミカンの美味い季節で在る。勝手知ったる私の家で在るから、ナターシャは台所、仏間から調達して来て、果物ナイフを添えて、『リンゴを剥け』の催促をしながら、ミカンを頬張り始める。

「ダーリン、あれはウィスキーか?」
「庭に生った梅で、ハンドメードした梅酒だ。飲んで見るか。」
「そうかそうか、グラス持って来て下さ~い。」

 台所で沸かした薬缶をストーブの上に乗せて、グラスを持って来る。その間に透視眼の在るナターシャは、部屋の隅に在る吊るし柿の缶を開けて、「オゥ、パウダー・ドライフルーツ。美味しい~。これ何ですか」の質問で在る。

 生意気口では在るが、好奇心旺盛の性格で、そして記憶力が良い。ストレートな物云いが、小気味が好い。

「うん、甘くて好いんじゃ無い。一緒に飲みましょう。漬け物も、一杯お願いしま~す。」

          そんな次第で温まった空気に、戯画廊談話室が始まって行く。

「此処はカラフルで、バリエーションに溢れた部屋ねぇ~。面白~い。ダーリンは、色んな面を持って居るから、魅力が在るわよ。フフフ。」

 実際は、娘程に歳が離れて居るのだが、其処はウクライナのライオン娘で在る。云いたい放題の小生意気な態度で、私をサーバント扱いする処が面白い。まぁ、私の方も『好きこそ許せる男女の仲』と『相性の嵌り』と云った処なのだろう。
横顔こそ、鼻がライオンの咆哮を感じさせ無くは無いが、正面の顔は、貴族令譲の様な気品と愛らしさを併存させて居る次第で、観賞対象と云った処で在る。

 ナターシャ特有の生意気口も、信頼から来る『甘えの発露』と思えば鼻の下も伸びると云う物で在る。いざと為れば、ボスは私なので在るから。へへへ。

「今年は、ジョービタキが来ないでしょ。それで報告役のバルディナ情報が無いから、ヤナも寂しがって居てね。この前、二人の処に顔出したら、黙って夏に二人だけでコソコソ『中央アジア・草原の道』を遣って来たと云って、凄いブーイング貰ちゃって、行って『穴埋め企画』を組んで持ってらっしゃいと、お尻を蹴飛ばされちゃったって訳なのよ。アハハ。」

「そうかい、あれは夏だったから、ジョービタキは4月の北帰行だったのになぁ~。そうかい、バレちゃったか。ナターシャの『上手の手から水が漏れる』事も在るんだなぁ。
 為るほどね、天網恢恢疎にして漏らさずってぇのは、中国の喩えだけど、技術革新の立ち遅れて居る旧ソ連邦だから、それも仕方ないな。でも、恐るべしロシアンアマゾネスで、女の千里眼・吸覚とは凄いもんだなぁ。アハハ。」

「何よ、それ~。旧ソ連圏は、中国が大嫌いなの知ってるでしょ。口上手男には、お仕置きが一番効~く!! 赤柄の睾丸鞭を上げるわよ。如何する? ダーリン、言葉撤回するか~!!」

「分かった、分かった。『陰毛痒い痒い、冬の陰金タムシにはロシアンアマゾネスのキッス』ですがな。あい~!!」

「相変わらずの、ダーリンはお馬鹿スケベちゃんねぇ。出しなさい。キッス以上の事もして上げるわよ。おほほ。」

★ナターシャの奴め、口当たりの好い梅酒をジュース代わりに飲んで、丸でウオッカ・ドリンカーで、俺様を犯そうとして居やがるな。
 冗談じゃない。異界の女と違って、こっちは生身の人間だわさ。暖房部屋で事に当たったら、虚弱体質の俺は、年末年始を風邪の寝込みに為って仕舞うがな。秘め事48手ファイトは、布団を敷いて部屋を暖めて、風呂で洗い清めてから、布団の中が日本のセオリーだぜや。馬鹿もんが、肉食獣ライオン族交尾と草食族交尾とは、次元が違うんじゃい。

「アナタ、何云ってる。私、日本のお風呂に浸かって、何日か泊って行く心算よ。夜は長~い。全然、心配要らないで~す。」

 <その2>
 1万年以上に亘る悠久の日本文明の揺り籠にも、変化が訪れようとして居た。1万年の中には、気候の大変化も何度と無く散在して居ただろう。そんな縄文の世界も、狩猟採取の自然共存型の根底には変化が無かった。それでも悠久の時の流れの中で蓄積されて来た定住安定型世界にも、栽培耕作の浸透も西から進んで来て居た。

 そんな縄文時代の中に、7つ道具を背負って異次元トリップして来たのが、ロシアンアマゾネス・オールキャストと私で在った。

「ダーリン、前来た時と変わって仕舞った風景ですね。如何した事でしょう?」とヤナ。
「森林、山の木の風景が変わってますね~。歴史レクチャー欲しいですね。」とバルディナ。
「アナタ、私達にレクチャーするのが、仕事。分かってますね。その後で、作戦立てましょう」とナターシャ。

 ロシアンアマゾネスの面々は、何れも黒髪・金髪の美形・美人では在るが、『ワタシが日本に住む理由』に登場する白人女性群とは、真逆の立ち位置で在る。私とすれば、質問前に少しは考えて貰いたいと思う次第で在る。ロシア、東欧女性達も居らっしゃるので在るから、彼女達の爪の垢でも煎じて飲ませて遣りたい物で在る。そうすれば、美形・美人にも知的要素が香立つのだろうが、私に云わせると、辛坊が足りないのが玉に瑕で勿体無い限りで在る。

     こんな処に、ひょいと顔を出すのが、旧共産国の国家教育のツケなのだろうか。

「ウム、サーバントが、ご主人様達に何か云ったかしら?」とナターシャのライオン鼻がピクピクとして居る。

「3クイーン、アイアイ、サー。7つ道具の中には世界史の虎の巻が、入って無いんだけどさ。十字軍⇒ルネッサンス⇒大航海時代⇒自然科学の発展、生活革命が西洋に訪れたのが、11C~17Cと捉えられて居るんだけどさ。
 17Cは西洋の全般的危機の時代と捉えられて居るとの由でさ。大航海時代の成功で、『世界一体化』のステージに上ったそうだけど、16Cの爆発的西洋の発展も17Cに入ると、新大陸からの金銀銅の生産にも陰りが見えて来て、経済的にも停滞の時代が訪れたそうだよ。」

「其処へ持って来て気象低温化による農作物の飢饉状態が重なって、西洋では宗教革命に名を借りた戦乱の世に為って行ったそうだよ。農民一揆と人間性回帰のルネッサンス思想が、中世の絶対的精神土壌のローマカソリック体制を根底から攪拌させて行き、それに宗教革命がドッキングして、宗教対立と云う『共食い状態』が、宗教戦争と云う名の下に百何十年も続いたそうだよ。」

「アダム・スミスと云う神父上がりの経済学者の古典経済学的見地から云うと、見えざる神の手じゃないけどさ。差し詰め、政治経済支配層対農民・職人・労働者の国民と云うか庶民層の対立が進行して行ってた時代なんだろうね。
 その世紀には『見えざる人間界への調整の手』が介在して来たんだろうね。仏革命の1世紀前の時代だね。」

「9~11Cのヴァイキングの第二次民族移動の混乱期を脱して、地中海、黒海、北海・バルト海、インド洋、大西洋、西洋大河川に依る遠隔地交易網の西洋交易インフラの発展、それによる各自由都市の発展、商業資本の蓄積、農業生産の増産、人口増など初期の西洋エネルギーの爆発が11C~13Cに掛けてのイスラム圏十字軍とバルト海十字軍を産んだと云う見解も在る次第でね。」

「十字軍の失敗が、西洋に『進んだイスラム』に追い付け、追い越せの追い風を産んだ。大帝国オスマントルコを回避しようとして、ポルトガル、スペインが海洋新航路の発端を切り拓いて、大航海時代を牽引して行き、16Cの西洋時代を突き進んだ。
そして17Cを迎えて、現代からすると『近世バルブ』が崩壊点に達して、炸裂したのが17Cの『全般的西洋の停滞期』と呼ばれて居るそうだよ。」

「白人、中狂人の思想は、何かと『自然を人間が征服すべき対象』とするのとは、真逆の『自然との共生対象』とする日本の自然思想からすると、因果応報とか過ぎたるは及ばざりしの文明文化の違いなんだけどさ。人間界も地球環境の中に共生する存在と考えるのが、日本人でさ。」

「地球誕生、生命誕生、人類誕生、有史前、歴史時代・古代・中世・近世・近代・現代の人間区分は在っても、地球全体の時間区分から云ったら、単位億の地球物差しと高々、単位千年、百年との人間物差しとでは、所詮、話に為らんわさ。」

「従って、人類史など『針の先』程でも無い事だろうし、地球気象にしたって氷河期、間氷期が交互するのが、地球実態って事だろうし、壊滅的な大地震大津波に呑み込まれて仕舞った『3・11の東北大震災』だって、キリスト教国の感覚だと世界発信の映像を見れば、ノアの箱舟を想像しただろうけどさ。
 あれも千年に一度の周期事と云われて居るから、1万数千年に及ぶ悠久の縄文時代にしても、単純計算で1200÷1000=12回も在った訳だわな。
そんな風に地球現象を捉えれば、西洋の1世紀に亘る大混乱期も、決して理解出来無い事も無いって事さ。」

「そんな巨大な地球の『時の尺度』からしたら、太平洋の東端に位置する南北に弧を描く日本列島にだって、西洋以上の地球気候の寄せる波、退く波が繰り返されて来たと観るのが妥当なんだろうよ。」

「パッと見た処、感じとしては狩猟採取の区分から、栽培農耕が進んで居るから、権力誕生期に入って居ると観るべきなんだろうね。小国家の草創期かも知れないよ。後は、この目で確かめるしか無いだろうね。以上、ファースト・レクチャ終わり!!」

「時代からすると、何世紀頃と思う?」とヤナ。
「日本古代史は漢書の漢の倭の奴の国、魏志倭人伝の雑学程度しか知らないから、実際は分らないけど、卑弥呼の前後が中々流動的らしいから、3C頃じゃ無いか。当たらずと云えども、悠久の縄文からの弥生の門戸が開かれようとして居る時代区分だろうから、2、3Cの誤差など、大勢に影響無い筈だよ。アハハ。」

「アナタ、相変わらず、頭の中はクレバーな人です~ね。唯の女好き、スケベ親父にして置くのは勿体無いですね。早い処、異界に渡って私とベストコンビの異界教官の道を歩みましょうよ。」
「ニェット、ニェット!! ナターシャは懲りずに、本当に独占欲が強過ぎるわよ。」
「ダーダー。私もヤナに賛成よ。ナターシャはR塾の生徒でしょ。何故、共生の教えが分からないの。強制・独り占めは、教えに背く態度よ。反省しなさい。」

「オゥ、アナタ達、生身の人間は煩いわね。少し、冷静に為りなさい。私の異界の術のお陰で、こうして仲良く交流会が出来て居るって事が、解って居ないみたいね。」
「もう、ナターシャって、何時もこうなんだから。駄目なものはダメでしょ!!」
「分かった、分かった。OK。此処は、『協調路線の握手』で行きましょう。アハハ!!」

 異界術を持ち出されて仕舞っては、生身の人間は何も言えなく為る。生身族としては、ナターシャのライオン鼻に、『それを云っちゃ、お終ぇよぉ。』の歯軋りの段で在る。

 私は日本人男児で在るから、ポーカーフェイスを保つ事が出来るが、コミュニケーション文化の違いで、ヤナもバルディナも悔しさに下唇を噛んで、顔を左右に振って居る次第で在る。こんな処にも、出し抜かれた草原の道への女の反発が見え無くも無い次第で在る。へへへ。

 私とナターシャは、時代予想と状況入手の為に、異界の魔法の絨毯で『斥候探索』に出向くする事にする。

 <その3>
            凡その事は分った。翌日に備えて、早目のキャンプインとする。

 縄文・弥生期の人口は26万人とも推定されて居る。狩猟採取と云っても、漁労採取が安定定住の条件を最も満たす場所で在る。川が在り、海の近く後背地に緩かな山を持つ。山川海は、食料調達と防御の地形でも在る。古事記の描く神代を想定して、私としては、来るべく勢力争いの時代に向けて、小さいながらも永らえる事の出来る『モデル集落』を残して行きたいと考えた次第で在る。

 或る程度の人口が集まり暮らし、覚えた事を発展させて、勢力を拡大するも好し、自存自衛の勢力を保つも好しで在ろうと考えた次第で在る。幸い、手付かずの大地が、西部開拓史を彷彿とさせる様に広がって居るのが、何とも云えぬ開放感を与えて呉れる。

 私達はこの時代の人間達からすれば、途徹も無い未来人で在る。未来人が手付かずの大地に描く物は、規模は小さいながらも『衣食住&交易&防御都市の卵』で在る。

 本、動画講演に依ると、原日本風景は、先ず東北・関東に起こり、北九州、出雲の三大勢力が在った様で在る。日本は自然発生的国家とも云われて居る次第で在るから、今回は東海太平洋岸のこじまりした場所に設定しようと考えて居る。そんな次第で、昨日はナターシャの異界の絨毯に乗って低空飛行をして貰って場所の目星を付けて来た。

         軽く朝食を採って、早速、異界絨毯に乗った夢奇譚御一行様で在る。

「もうそろそろよ。皆、目を開けて好いわよ。新天地をゆっくり一周するから、全景を頭に入れといて。」

 背後に緩やかな緑が織りなす広葉樹林の原生林、原生林を縫って中河川が緩やかに蛇行して海に注いで居る。うろ覚えの日本地図の形状からすると、伊勢志摩と伊豆の大分静岡寄りの地域らしい。

 8C飛鳥時代に出された諸国に撰進が命じられた風土記に依れば、畿内5国、東海道12国、東山道5国、北陸道4国、山陰道7国、山陽道5国、南海道6国、西海如何11国の計53国だったそうで、現存する風土記は、常陸国(茨城)・出雲国(島根)・播磨国(兵庫)・豊後国(大分)・肥前国(佐賀・長崎)の5国で在るから、縄文中期のBC3500~BC2000年の三内丸山遺跡(青森市)と比較すれば、日本が大きく西に向かって居る事が分かる。この間に大きな気候変動が起こって居たと、観るのが妥当と云う物で在る。幸い、この地には大きな勢力が無かったと観た次第で在る。

「ウア~オ、ビューテイフル、トゥレビア~ン。」と歓声を上げてはしゃぎ回るヤナとバルディナで在る。
「日本は単調な風景が何日も続くロシアより、グッド、ミラクルビューですねぇ。」
「そうそう、コンパクト・ビューティのミラクルワードですねぇ~。虜に為ります。」

「へへ、日本を褒めて呉れるのを聞くと、嬉しいねぇ~。働いて貰うんだから、滞在中は美味い物を料理するわさ。」

「勿論、その心算で来ました。」
「ダーリンの男飯は、何時も美味しいです。」
「そう、それを、期待して~る。お願いします。」

       寒い国の女族は総じて、単調な食生活らしく、料理の腕は芳しく無いで在る。

 バルディナのコンパクト・ビューテイの表現では無いが、四季のはっきりしたコンパクトワールドでは、自然に旬の食材で、バライティに富んだ食生活が身に就いて居るのだろう。 

 小中学校時分には、敗戦が尾を引いて居て、国土の70%が山で、資源の乏しい日本が強調されて居たのだが、この頃はクールジャパンとやらで、海の幸、山の幸、技術の幸、精神・道義の幸・・・etcで、豊かな日本と位置付けられて居るので在るから、世界も様替わりして仕舞った物では無いか。アハハ!!

 <その4>
 私は西部開拓史に登場するファーマーの様な、これから始まる創造主の様な、高鳴る胸の鼓動の興奮の中で、未開の大地を見渡す。最大・最強のコンビ・ナターシャは異界術の腕を上げに上げて居る最中で在る。夢奇譚当初と違って、私は相棒の魔力を平気でリクエスト出来る『強心臓』を持ちつつ在る。

 この時代は歴史的に云うと、新石器時代の最終章で在ろうか。私としては、手付かずのコンパクト・ビューティの大地に、計画集落のモデルを残したいとの目論みで在る。従って、個人の石器道具では絶対に歯が立たない。

 ナターシャを煽てに煽てて、大型ブルトーザー、重機、ダンプカーを調達して貰った次第で在る。皆車の免許証が在るから、操作して居る間に動かせる様に為ろう。一応、私は弟に其れなりに教えて貰って居たので、素人よりは益しで在る。

 こんな時に頼りに為るのが、運動神経とドライブ好きのヤナの呑み込みの速さは、男以上で在る。彼女にブルトーザーを任せて、私はバックフォーを、バルディナはダンプを担当して貰う。

 勿論、ヘルプのSOSが発せられれば、運転を替わると云った具合で、模型に沿って、全体の総指揮はナターシャが担当する。無線も携帯も無い世界で在るから、直接指示はナターシャの『テレパシィ』と云う具合で在る。

              これを称して、異次元界の奇跡と云う物で在ろうか。

「ちょっとちょっと、ダーリン、掘削溝が東に大きくずれてるわよ。ったく、下手なんだから、縄張りしなさい。」
「ヤナは、其処は畑じゃ無くて、水田にするんだから、平にしなくちゃ駄目よ。」
「バルディナは、手前からじゃ無くて、凹地以外は、奥の方からダンプして来てよ。」

「みんな、ファイトよ!! 仕事は効率好く進めましょう。劣等生3人の世話焼きも、大変なんだから。同時、3人の面倒見は、異界のナターシャ様だって不可能なのよ。確りしてよ。頼むわよ。」

★ニャロメ~!! 発破の掛け方が、手厳しい限りで在る。然しながら、人間集まる処、持てる者と持てざる者の『立場の差』は、歴然として居る次第で在る。

 素人集団で在るから、アイアイ、サー!!と『絶対服従』するのみで在る。下手に臍を曲げられて仕舞ったら、忽ちに文明の利器は消滅して『人力作業』を強いられて仕舞う。3人共、それだけは絶対に阻止したい『弱者同志の協調』で在る。

 生身3人組は、慣れぬ操作のバタンキューの墜落爆睡で在った。異界教官のナターシャと云えども、同時に3人の支持テレパシィで相当に付かれて居る風で在った。それでも、異次元オールキャストの面々で在る。朝日が昇ると、空母で待機するゼロ戦乗りの様に、各自の仕事にキビキビと向かう。そして異次元界の作業ピッチは、現実界の音速並で進んで行く。

 奮闘努力の成果が上がって、古代のモデル集落が概容を見せ始めて居る。小高い丘陵には、日本神殿を造る予定で在る。石垣は無理で在るから、土塁を兼ねた傾斜を付けた。神殿の下には、西洋の有畜三圃農法を採り入れた三面を畑地として区画した。春耕作地、休耕地兼肥料造り地、秋耕作地とし、その下には三面分の水稲地を設(しつら)えた。灌漑水路は、蛇行する川から掘削して、神殿手前に用水池を施した。

 神殿は真東に採り、『天照大神』を祀る事に事にする。この時代で在るから、竪穴住居を基に、宝物としては小学生低学年用図鑑の全集を蔵書としてプレゼントする心算で在る。家畜には牛、馬、豚、ヤギ、鶏、アヒルを用意して貰った次第で在る。そして、漁労道具としては小規模の地引き網を、地引網を海に仕掛ける為に、2艘のボートを出して貰った。

 ナターシャ様々の大活躍を頂戴して、序に缶ビールまで出して頂き、穏やかに暮れる水平線の日没を眺めながら、4人で大祝宴を挙げた次第で在る。

 <その5>
          原生林の奥で、天地創造の全シーンを見詰める少年と灰色狼の子が居た。

 縄文の縄目文様は、大麻の表皮から作られた『縄紐』と云う事を、何かの本で読んだ記憶が在った。日本の大麻は、3ヶ月で4mの成長植物で、撚れば糸、紐、織れば麻布と為って、貫頭衣、編めば網にも為った優れ物だったそうで在る。
神社の注連(しめ)縄、表皮を剝した真っ直ぐな茎は乾燥させて、屋根拭きに使用されたとも云う。古代エジプトではパピルス紙、パピルス舟と重宝植物だったとの由で在る。エジプトと日本は創意工夫の点でも、巨大墳墓の点でも共通項が在った様で在る。

 そんな次第で、神殿の森の中に麻畑を作る事にし、遠浅の浜辺の一角に、塩田を作る。私の構想では、縄文一家の家族構成を爺、婆、夫婦、子供5人を予定して居る。3代9人で、働き手を5人と想定して居る。6家族で概ね50人規模の集落構成としてモデル都市の中核を提示する事で、その後の規模の拡大は、順次為されて行けば良いと考えて居る。

 欲を云えば、毛糸の原料と為る羊もナターシャにリクエストしたかったのだが、時代は新石器時代で在るから鉄器の鋏など在ろう筈が無い。羊の代わりに乳の採れるヤギを出して貰った次第で在る。

 神殿に大麻皮、塩、その時々の山幸、川幸、海幸の収穫物を奉納する。満潮に地引網を集落全員が繰り出して揚げ、干潮には貝を拾う。想像するだけで、四季の国、自然との共生を文明、文化とする大和民族の姿が嬉しい限りでは無いか。

               一日の労働を終えて、食事をしながら、明日を考える。

「ダーリン、私達、色んな異次元体験して来ましたねぇ。多分、今回が一番古い時代でしょ。今日で、もう機械工事は終了しました。明日からは、牛と馬と私達の手で出来ますから、時間の余裕も出ます。『原生林のボクちゃん』に仕事の内容と、軍事教練を見せて遣りましょうよ。大事な一期生ですからね。一杯、覚えてもを無くちゃね。おほほ。」

「アナタ、今回の夢奇譚行のタイトルを何としますか?」とヤナが訊く。

「そうだなぁ~。差し詰め第一期生の目からしたら、『天尊降臨』の目撃者って処だろうな。単一民族の日本の歴史は、天孫降臨の神話に同化されるって云うしさ。驚いてると思うよ。目の当たりにしたのは、天孫じゃ無くて、正に天尊降臨の『神事』に映って居る事だろうよ。へへへ。」

「ダーリン、頭良いですねぇ。早~く、異界のオシドリ教官したいですね。フフフ。」
「ニェット、ニエット。ナターシャは、何回も抜け駆けしてるでしょ。異界の独り占めは、私達が可哀想だと思わないの。」
「ダーダー。その通りよ。」

 <その6>
「坊や、隠れて無いで、こっちにいらっしゃい。みんな好い人だから、隠れて見て居るだけじゃ『勉強』には為らないわよ。跡取りに為れ無いわよ。」

    4人の中で一番穏やかで優しい笑みのバルディナが、少年の手を繋いで遣って来た。

「利発で活発、ハンサムボーイで、何処と無くダーリンに似てる。」
「そうかい? 若しかしたら、俺のご先祖様かも知れんなぁ~。」
「本当、好い子じゃ無いの。」

 みんなに囲まれて、頭を撫でられ握手をされて、灰色狼の子供を抱いた少年は、モジモジして居る。無理も無い。突然に姿を現わして瞬く間に、天地創造をして仕舞った訳で在るから、頭を撫でられ、握手をされたと云っても、神への『金縛り状態』から脱する事が出来ないのが、生物反応と云う物で在る。

 でも其処は、子供慣れして居るのが女族の男族には真似の出来ない柔らかスキンシップの技なのだろう。加えて、異界のテレパシィ技で在る。目は口より物を云うのが、真実の様で在る。

 少年は大分落ち着いて来て、私達を見較べて居る。若返った私とナターシャは黒髪、ヤナとバルディナは金髪。私の顔付は自分達と似て居る。白い肌の3人は、共通する見た事も無い顔立ちで在る。4人は、仲良く仕事をして居た。父親が私で、色々指図をして居た黒髪が母親か、娘達の一番上なのだろうか。

        経験の少ない少年は一生懸命考えたが、答えは出て来なかった。

「坊主、大丈夫だぞ。緊張し無くても好いんだよ。これも御縁だ。暫く、此処で生活して見ようじゃ無いか。違う世界が見えて来るぞ。」
「そうよ。子供らしくリラックスリラックスが、一番仲好く為れるコツよ。」

 少年の腕から降りた子供狼が、クンクンと私達の臭いを嗅ぎ回って居る。それを抱き上げて遣ると、怖がる風も無く、私の顔を舐め回して来る。

                  それを見て、少年は安心した様で在った。

 私達は、モニュメントを造った訳では無い。モデル集落と云う『生活の場』を提供したので在るから、縄文人の入植は大歓迎で在る。私達と少年の暮らしは、一人、また一人と人が集まり始めた。種は発芽して、作物が育ち始める。牛馬が耕し、運搬をする。鶏が地面を突付き、アヒルが溜池、水路を泳ぎ、ヤギがメェ~と鳴いて草を食む。パンパンに張った乳房からは、搾乳が出来た。
二艘のボートに乗って、網を海に投じ、翌朝、小さな地引網を引き、干潮に貝を拾って歩く。塩田に海水を捲く。時に原生林に入って、狩りをして来る。恵まれた環境で在る。

 邪な後参入者の跋扈は許せない処で在るから、後顧に憂い無しの為に、日々の『軍事訓練』を進める。未来人で在るから、雑学、体育の授業から学んだ知識で、弓矢、木刀、槍・長刀の棒術、迫激戦の柔道・空手の個人技、集団戦、牛馬を採り入れた機動戦を採り入れた軍事教練も教える事にして居た。勿論、主たるものは農業実習で在る事は、当然で在る。

 柔軟な若さは、習得の最大源で在る。ナターシャの異界力の助けを借りて、中年の働き盛りの私では在ったが、少年達、少女達の上達振りには舌を捲くばかりで、日々、羨望の態で在った。

    異次元界の月日は瞬く間に過ぎて行き、役目を終えた私達の現世界への時が近付いて居た。

 <その7>
 私達の充実の時は、サンセットの海、雲の茜色の重なり、濃淡、塒に帰る海鳥の群れ、寄せては退く潮騒の音。変わらぬ悠久の繰り返しの鼓動の中で、海辺での水入らずの夕食と缶ビールを開けての浜風に語り合う時間帯で在る。

「ダーリン、今回の夢奇譚行も、終わりに近付いて来て居るわ。形は残す事が出来たけど、何かの形で、私達を残したいわね。アナタは、考える事好きでしょ。何か、面白くて覚え易い教えを残して上げたいのよ。何か、考えて下さ~い。私達の何時までも残る言い伝えにしたいのよ。」

              ★何時に無く、ロマンチィックなナターシャで在る。

「そうそう、ダーリンは、ユーモア得意でしょ。」

「おいおい、そりぁ、人使いが過ぎるぜや。でも、そうだなぁ、グッドアイディアだな。人間って奴は、生産に余乗が出来て来ると、分化・特化して『特権階級』を作る性質の悪さを持って居るからな。俺は頭デッカチの胡坐掻きは、体質に合わんからな~。」

「其処が、ダーリン、私達のボスの真骨頂でしょ。ダーリンだったら、出来るわよ。」

「そうだなぁ・・・日本思想は、『一君万民の役割分担』に特色が在るしな。云って見りぁ、『名も無い庶民力』に在るって事だろうからな。庶民力なら、敷居を低くして『戯れ歌・わらべ唄』だなぁ・・・ヨッシャ、チョイと捻って見るか。」

      遍く照らすは、天の使い天照大御神。山・川・大地・空・海に、其々の幸在り。
            アア、ソレソレ、有難や有難や。アマテラス。四季の国。

      家に爺、婆、お父にお母、兄弟姉妹在り。敬い、愛しみ、仲好く助け合う。
           アア、ソレソレ、働くべし学ぶべし。真面目が一番。

      嫁じょは、遠出で探すべし。新たな血保つべし。新たな考え得るべし。
         アア、ソレソレ、チン振れ振れ、腰フレフレ。好か女(おなじょ)

「即興にしては、好い出来ねぇ~。そして、やっぱり、ダーリンは一番のスケベちゃんねぇ。気に入ったわ。」
「最後が、もぅ、最高よねぇ~!! 唄を作って呉れたんですもの、今度は私達が振りを付けましょうよ。」
「オゥ、グッドアイディア!! 歌の文句に沿って、神事ぽく、お囃子(はやし)の部分は、思い切って庶民レベルでコミカルにすると、面白そうね。」
「子供達が、楽しく参加出来るにしましょうよ。アア、ソレソレ、フレフレ、腰フレフレだから、こうよね。アハハ!!」
「ナターシャ、その腰付き、古代の性教育に打って付よ。上手い~。」
「全部で3番在るから、1番をヤナ、2番を私、3番をナターシャで行きましょう。」

 ハハハ、乗り上手と云うか、茶目っ気を刺激されたのか、3人が3様に、頭の中のイメージを模索表現して、サンセットの海辺に豊満な肉体円舞を始めて居る様で在る。

              夢奇譚第33部・・縄文に天尊降臨す。・・・完
                         2018/12/31     アガタ・リョウ

 後記・・・生きて居ると可笑しな物で在る。少年と灰色狼の話『ギュンとクンの伝説』を打ったのが、10数年前の事で在る。それをモチーフにしたのが夢奇譚の『天空の台地』伝説後談としてPart2を打った。

 今回はどんな展開にしようかなどと、中折れ頓挫で年内投稿には至らず、亜流として苦肉の策で、『夢に就いて』を物語風に打って糊塗した次第で在る。それでも、何か大きな宿題から逃避して居る吾が身が恥ずかしく、エールコメントに励まされて、年明け着手を考えて居たのだが、・・・。

 然しながら、一端尻に火が付くと、俄然奮起する性質らしい。晦日、大晦日で何とか帳尻が間に合った次第で在る。人間、偶には踏ん張って見る物で在る。へへへ。




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コメント

Rさん^^

あけましておめでとうございます。

近頃・田中英道氏の関連動画を拝見しております。関東(鹿取神宮・鹿島神宮・)そして伊勢神宮。大変参考になりました。ただ今・日本の原爆は8月12日・北朝鮮で成功していた?を視聴しております^^

No title

            waravinoさんへ。

 西部邁、西尾幹二、田中英道、中山恭子の各氏は東大の学窓で、時折、その話が出て来て、その実仏像に触れられる事が在りまして、ニヤニヤ拝聴して居る次第でも在ります。

 田中先生の連続講義動画は、好く拝聴させて貰って居ます。深夜動画の北往路欣也版の手裏剣の女も好い女性で在りました。へへへ。


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